ヒトがせっかちなのは、それなりの理由がありますが、どういった理由なのでしょうか。
せっかちなのはヒトの性?
ヒトはよくせっかちな行動をしてしまうことがよくありますが、それは目先の満足度を優先してしまうというクセがあるからです。
例えば、10万円があったとして、今すぐもらえるとしたら、それは嬉しいと思います。
でも、今ではなく1年後に渡されますと言われると、ほとんどの場合はその喜びは減ると思います。
もらえるお金は同じ10万円なのに、今もらえる10万円のほうが、1年後にもらえる10万円よりも価値が高いということになります。
つまり、時間の経過によって価値が割り引かれてしまう訳ですが、例えば今もらえる10万円は、1年後にもらえる11万円と同じ価値があると感じた場合は、これは将来の価値を現在の価値に換算ずる割引率となり、これがその人のせっかち度を示す指標にもなります。
よりせっかちな人、つまりせっかち度が高い人は、1年後にもらえる11万円どころか、20万円の価値があると思うかもしれません。
双曲割引モデル
今もらえるはずの10万円が、3日後になった場合と、1年後にもらえることになっていた11万円が、1年と3日後に延期された場合とでは、今もらえると思っていた10万円が3日後になったときのほうがショックは大きいのです。
これは、『双曲割引モデル』と言われているもので、未来になればなるほど、その差を感じなくなるのです。
将来の大きな利益より、目先の小さな利益を選ぶクセ
将来の大きな利益のために計画を立てていたにもかかわらず、ついつい目先の小さな利益を選んでしまうことは、『時間的不整合』と呼ばれています。
ヒトには、無意識のうちに将来よりも今のことが大事だと思うクセがあります。
ダイエットしているのに、ついついケーキを食べてしまったり、試験前なのについつい遊んでしまったりするのには、こうした人間のクセが影響しているのです。
しかし、今を優先したいという本能に流されてばかりいると、うまくいかなくなってしまうこともあります。
マシュマロ実験という面白い実験があるのですが、4歳の子供の前にマシュマロを1つおいて、15分くらい部屋を出るけど、戻るまでに我慢できたら、もう1つあげるよと言って部屋を出るのです。
50年もの追跡調査の結果、我慢できた子は学業成績が高く、社会的地位も高く高収入になる傾向だったのに対し、我慢できなかった子は、学業成績が低く、社会的地位も低く低収入の傾向がみられたという報告になっています。