ヒトは何かを判断するときに自分なりに考えて、合理的な判断をくだしているつもりですが、必ずしも常に合理的な判断をしているとは限らないのです。
ヒトは常に合理的判断をしているわけではない
経済学などにおいては、いろいろな想定をするときにその前提として、「人間は常に合理的な判断をする」というものがあり、それによりいろいろな予測や対策が立てられたりします。
しかし、人間はそんなにいつも合理的に物事を判断していないのです。
実際に人間は、常にそう合理的な判断をしていないということが実験によって明らかにされています。
あなたはどんな判断をする?
『アリエリー』の『おとり効果』の実験という面白い実験があります。
この実験は、雑誌の購読案内を使ったもので、大学生100人に次の案件でどれを購入するかを回答してもらいます。
①ウエブ版の年間購読……価格59ドル
②印刷版の年間購読……価格125ドル
③ウェブ版+印刷版の年間購読……価格125ドル
さて、みなさんはどうでしたでしょうか?
気になる実験の結果ですが、①を選択した人が16人、②を選択した人は0人、③を選択した人が84人になっています。
結果からもわかるように③のウェブ版+印刷版の年間購読を選択した人が圧倒的に多かったという結果になりました。
もちろん、②と③を比べたら、同じ価格なので当然②を選ぶという選択肢はありません。
出版社もそのことは百も承知ですが、それならなぜわざわざ誰も選ばないであろう②の選択肢があったのかということです。
これは実は、③を購入させるための「おとり」なのです。
実際、同じ学生で、②の選択肢を省いた2択で回答してもらった結果は、①を選択した学生が68人、③を選択した学生が32人となり、②のおとりの選択肢があったときとは全く違う結果になっています。
もし、常に合理的な判断をしているのであれば、3択のときに③を選んだ学生は、2択になっても③を選びそうなものですが、多くの学生が①に選択を変えています。
なせ、おとりにより選択が変わったのか
なぜ、おとりである②の選択肢が入ったことによって、選択が変わったのかというと、人間のクセとして、物事をを相対的に判断するクセがあるからです。
つまり、②の印刷版の年間購読という選択肢があったことで、③のウェブ版+印刷版の年間購読の選択肢が、なんだウェブ版もついてきて価格が一緒じゃん、それなら③を選ぼうというようになったのです。
ところが②の選択肢がないと、そのお得感が感じられなかったため、③を選択する人が減り、①を選択する人が増えたのです。