プラセボ効果とピグアリオン効果 | 薬剤師トピックス

『プラセボ効果』とは、全く薬の効果を持たない薬(プラセボ)を飲んでも、なぜか効果が出てしまうことで。

思い込みのプラセボ効果

人の認知能力はとても複雑になっていて、プラセボ(偽薬)と知らずに服用した場合、人は「薬を飲んだ」という行為により無意識に効果が生じるものと思い込むのです。

そうすると、実際には有効成分は入っていないはずなのに、その思い込みによって身体が反応して効果が発現してしまうのです。

この『プラセボ効果』は、案外馬鹿にできず、臨床試験においても5~30%程度の患者にプラセボ効果が確認されるという医師もいます。

ピグマリオン効果

この思い込みという視点で考えると、『ピグマリオン効果』『プラセボ効果』と似ています。

1964年に、米国の教育心理学者であるロバート・ローゼンタールは、面白い実験をしています。

サンフランシスコの小学校で、ハーバード式突発性学習能力予測テストと名づけた普通のIQテストを行ないますが、その結果とは無関係に無作為に生徒を選び、学級担任には、この生徒たちは、IQテストの結果が良く、今後数ヶ月の間に成績が伸びてくると伝えたのです。

すると、教師は、この子だちは将来成績が大きく伸びるのなら楽しみということで、より熱心に授業をしたとのことです。

そしてその子供たちも、先生が熱心に教えてくれるから、期待に応えなくちゃということで頑張り、実際に成績が良くなりました。

この先生と生徒のように、期待された人が、その期待に応えて物事を成し遂げることを『ピグマリオン効果』と言います。

周りから期待されることによって成長が高まるという結論である『ピグマリオン効果』は、『ローゼンタール効果』とも呼ばれていて、低学年ほどこの効果が発揮されています。

反論もあるピグマリオン効果

『ピグマリオン効果』は、「再現性がない」として、各所から批判を浴びている面もあります。

こうなってしまった要因の一つとして、「期待」とは何かが明確になっていなかったことがあげられています。

たとえば、「得意なことがもっと伸びるように」という期待と、「有名大学に入って一流企業に就職してほしい」というのも期待になりますが、「同じ期待」であっても、後者のような期待は、ピグマリオン効果どころか、期待がプレッシャーや反発となって逆の結果を生み出してしまう可能性もあるので注意が必要です。

期待といっても、一方的な理想像の押し付けではなく、本人の自主的なやる気をいかに引き出す期待になっているかということが重要になってきます。

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