文書の改ざんや偽造文書の作成などは見抜けるのでしょうか。処方箋においても、改ざんや偽造といったものがないわけではありません。
もちろん、怪しいと思ったら医療機関に問い合わせればすぐにわかるのですが、刑事ドラマを見ていると『筆跡鑑定』なるものがあります。
果たして、どのぐらいの精度でわかるものなのでしょうか。
文書鑑定とは
刑事ドラマでは、よく「これ、筆跡鑑定してくれ!」というような形で、『筆跡鑑定』という言葉がよくつかわれていますが、もっと範囲を広げると『文書鑑定』といった言葉があります。
『文書鑑定』とは、文字通りの筆跡鑑定だけでなく、不明文字の鑑定や、印章・印影の鑑定、印刷物の鑑定など多岐にわたります。
筆跡鑑定はただ文字の形だけ見てるのではない
『筆跡鑑定』について言うと、『筆跡』の特徴は、子供の頃から長い間かかって身についた個人のクセが固定化して文字に現れてくるものです。
刑事ドラマででてくる筆跡鑑定などは、ここを跳ねる特徴があるなどと言っていたりしますが、もっといろいろな所を見ているのです。
筆順や筆記用具で書いたときの筆圧、動きや流れも見ています。こうした筆圧や流れは、運筆状況と言われます。
さらに、筆づかいによって書かれた線や点の形、書き始める部分や、書き終わる部分、さらにはハネたり、トメたりする部分のそれぞれの特徴をみる字画形態も確認されます。
漢字ですと、「へん」と「つくり」のバランスなど、さらに文中の文字と文字の隙間、線と線の角度や交差の位置などの字画構成もチェックされます。
こうしたことを全て含め、書いた人がどのような特養を持った筆跡かが鑑定されるのです。
筆跡鑑定が難しい文字とは
いろいろな要素をチェックして筆跡鑑定が行われるのですが、筆跡鑑定が難しい文字もあります。
ひらがな、カタカナ、数字といった簡単な文字は、直線や曲線、点などの文字を構成する要素が少ないので、特徴点が少ない文字で、そういったことから漢字に比べると、筆跡鑑定が難しい文字と言えます。
改ざん・偽造はコンピューターで見破る
名前や住所など、一単語あたり150以上もの特徴点をコンピューターで数値化して、統計学の手法を使って、複数の本人が書いたことが間違いない筆跡から、その人の筆跡の特徴を統計学的に算出する方法があります。
コンピューターによって、個人内変動幅、つまりその人の文字のバラツキの具合を割り出してしまいます。
その範囲であれば、本人の筆跡である可能性が高く、そうでなければ、違う人物の筆跡である可能性が高くなるわけです。
改ざんや偽造された文書の鑑定は、紙幣や処方箋、領収書に至るまで多岐にわたりますが、精巧に偽装されるとなかなか刑事ドラマでやっているような肉眼での目視では判別できない場合が多くなります。
そこで道場するのが、赤外線スキャナの透過モードや、反射モードでのスキャンで、インク成分の違いの鑑定です。
例えば、「1」に「∠」を付け加えて「4」にしても、CCD搭載のマイクロスコープという高性能顕微鏡にかければ、数字の交差を観察して線の重なりや筆記よる凹みなどがはっきりわかり、加筆・修正の偽造は簡単に発見できるのです。
表面上、消されてしまった文字をALSを転写して、浮かび上がらせることもできます。
最近では、書類上のインクの変化や性質、削除文字や改ざん文字、パスポートから紙幣の偽造検査に至るまで、全てこなしてしまうオールマイティな機械もあります。