侵害回避タイプかどうか、大阪大学大学院医科学研究科が遺伝子の型を使って調べた研究があります。
損害回避とは
まず、『損害回避(harm-avoidance)』とはどういったものかというと、はじめて聞くよという人も多いかもしれません。
損害回避を一言で言うと、「リスクを事前に察知し、回避する能力(性質)」ということになります。
あまりなじみがない人お多いと思いますが、損害回避能力が高いというと、心配性で不安を感じる傾向がある一方で、物事を現実的に認知でき、リスクを回避する慎重さを持っていることになります。
損害回避能力が高い人をイメージすると、自分に何らかの害が及ぶことを恐れ回避する傾向があり、物事に対していつも悲観的にとらえ内気で人見知りしやすいといった人物像が浮かんでくるかと思います。
長所としては、リスクを回避し、慎重に物事を進められるという点があり、一方で損害回避能力が高いため、心配性で不安を感じやすい傾向にあると言えます。
逆に損害回避能力が低い人のイメージとしては、楽観的で物事をポジティブに捉える傾向があり、リスクを過小評価し、危険行動に結びつきやすいといった感じになるでしょうか。
損害回避能力が低い人は、「非常に冷静沈着でパニックを起こさない人」、「どんなことでも安心して任せることができ、非常に楽観的でエネルギッシュである人」でもあります。
損害回避と遺伝子
大阪大学大学院医科学研究科の研究では、COMT(カテコールーOーメチルトランスフェラーゼ)遺伝子のrs4680に注目し、人の性質との関連を調べた結果、AAの遺伝型の人は損害回避能力が高く、GGの遺伝型の人は損害回避能力が低く、AGの遺伝型の人はその中間で損害回避能力がやや高いという傾向がみられています。
この研究では、人の性質を測定するためのいくつかのテストの中から、日本語版のTCI(気質性格検査)、ウェクスラー成人知能検査(IQ)、ウィスコンシンカード分類検査(WCST)を採用しています。
意外と少ない損害回避能力が高いAA型遺伝子
損害回避能力は「気質」に分類され、中枢神経内のドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンといった神経伝達物質の分泌と代謝に依存し深く関係していると言われていて、遺伝子がこうした神経伝達物質と何らかの相関性があるのかもしれません。
損害回避能力が高いAA型の遺伝子の人は、だいたい8%前後、損害回避能力が低いGG型の遺伝子の人は約50%、残りがAG型であり、意外にも割合としては、損害回避能力が高い人は少ないのかもしれません。