蒸し暑く寝苦しい季節になってくると、なかなか眠れないといった人も増えてきます。
日本では、4~5人が不眠症に悩んでいると言われています。
最近では、わずかな睡眠不足が、まるで借金のようにじわじわ積み重なることで、命にかかわる病気のリスクを高め、日々の生活の質を下げているとして、『睡眠負債』というような言葉が広く知られるようになりました。

睡眠負債リスクチェックについては、NHKスペシャルのページにありますので、チェックしてみてください。
http://www.nhk.or.jp/special/sleep/

不眠症の薬

不眠症の薬は、ハルシオン、デパス、レンドルミン、ドラールなどに代表されるベンゾジアゼピン系のもの、マイスリーに代表される非ベンゾジアゼピン系のもの、ロゼレムといったメラトニン受容体作動薬がありましたが、新たにオレキシン受容体拮抗薬としてベルソラムという薬も出てきています。

マイスリーなどは脳の活動を抑えて休ませることによって眠りに導いていくGABA受容体に働きます。
ロゼレムは、睡眠と覚醒のリズムを調製するメラトニンというホルモンに作用することで睡眠を促すメラトニン受容体に働きます。
ベルソラムは、これらの薬とは異なった働きをする新しい睡眠薬として出てきました。
作用点は、オレキシン受容体に働くというところにあります。

オレキシン受容体とは

オレキシン覚醒に関係する物質であり、視床下部の神経で作られていて、脳の覚醒に関するモノアミン系の神経伝達物質の働きを強めて神経細胞を活性化することで覚醒を維持する物質になっています。
オレキシンがオレキシン受容体を作動させることで、覚醒が維持されています。

オレキシン受容体が覚醒を維持させるためのスイッチで、そのスイッチをONにするパワーがオレキシンというとイメージしやすいと思います。
そして、そのスイッチがONに入らないように、オレキシンのパワーを打ち消す方向で働くのが、ベルソラムになります。

オレキシンは、昼間に増加して、夜になると減少します。まさに睡眠状態と覚醒状態を切り替えるスイッチのような働きをしているのが、オレキシン受容体になります。

GABAやメラトニンは睡眠状態と深い関係にあったのに対し、オレキシンは切り替えスイッチになります。

オレキシンは夜になると減少してきますので、覚醒させるスイッチをONにする力が弱くなり眠りにつきます。
また空腹や感情の乱れ、ストレスなどがあると、オレキシンは活発になるので、覚醒スイッチが入り、覚醒してしまうのです。

ベルソラムの特徴

ベルソラムの特徴としては、まずは自然な眠気を強くするところにあります。
覚醒スイッチがONに入りにくくするために、自然な眠気が強くなっていくのです。
覚醒スイッチがONに入りにくい状態を維持するために、中途覚醒や早朝覚醒、熟眠障害に有効で、入眠障害にも効果が期待できます。

ただ、覚醒スイッチがONに入りにくい状態を維持するということは、逆にいうと眠気が残ったりすることがあり、これが副作用となる点はデメリットと言えます。