グローバルにビジネスを展開していくにあたり、相手国の文化の理解は大きな課題で、マネジメントのネックにもなってくると言われています。
異文化を理解し、その背景や要因を紐解いて、柔軟に対応していく能力が大切になってきます。
カルチャーマップとは
ビジネススクールの欧州経営大学院(INSEAD)の教授であるエレン・メイヤー教授は、『カルチャー・マップ:世界を8つの指標で理解する』などの著書で知られていて、世界各国の文化の違いを『カルチャーマップ』で可視化し、8つの指標で文化的な違いを理解して、多様性のある組織の運営に活かすことが大切であることを提唱しています。
カルチャーマップの8つの指標
文化的違いを理解するためのカルチャーマップの8つの指標は次の通りです。
1.コミュニケーション
『コミュニケーション』とは、他者との対話において明確な物言いを好むか、含みのある物言いを好むかの指標で、この値が低いローコンテクストであれば、明確な物言いを好む文化であり、この値が高くハイコンテクストであれば、含みのある物言いを好む文化になります。
ドイツはローコンテクストだり、日本や中国はハイコンテクストです。
2.評価
『評価』は、否定的なフィードバック、ネガティブフィードバックをする際に、直接的に伝えるか、間接的に伝えるかをみた指標です。
ドイツやフランスは直接的に伝え、日本では間接的に伝える傾向があります。
3説得
『説得』は、他者を説得する際に、原理を根拠に話すか、事例を根拠に話すかになります。
ドイツやフランスでは原理優先する傾向が高く、日本や中国では事例を根拠に話す傾向があります。
4.リード
『リード』は、権力者に対する敬意・服従がどの程度見られるかの指標で、敬意・服従の強い文化は階層主義的、弱い文化は平等主義的と言えます。
日本と中国は階層主義的な傾向があります。
5.決断
『決断』は、意思決定をする際に「合意」をどの程度重視するかの指標で、日本は際立ってボトムアップ・合意志向の合意を重視する文化の傾向が出ていて、同じアジアの中国は逆にトップダウン、つまり個人で決断をする文化の傾向が出ています。
6.信頼
『信頼』は、信頼形成にあたって、「タスクの達成」を重視するか、カウンターパートとしての「関係性」を重視するかをみた指標で、日本はちょうどバランスがとれていて、ドイツがタスクベース、中国が関係ベースの傾向があります。
7.見解の相違
『見解の相違』は、意見の対立を是とするか、非とするかで、ドイツやフランスでは意見の対立を是とする対立型、日本は意見の対立非とする対立回避型の傾向が顕著に表れています。
8.スケジューリング
『スケジューリング』は、スケジュールを遵守するか、状況に合わせて柔軟に対応するかの指標で、ドイツはスケジュール遵守の直線的な時間の傾向にあり、中国は状況に合わせる柔軟な時間の傾向があります。
人間はネガティブ寄りになりがち
99人から良いことを言われても、1人のネガティブな意見があると、その1つのネガティブ要素が全部を占めているかのように思えてきてしまうという調査もあるように、人間の認知は、ネガティブ寄りだと言われています。
これは石器時代からあまり変わっていないと言われていて、ネガティブ寄りで不安で心配性のほうが危険にたいしょしやすく、生存競争で有利だったことから、それが遺伝子で受け継がれてきたという説が有力なようです。
しかし、これは自分の強みを生かしてチャレンジしていこうという時には邪魔になってしまい、バランスをうまくとっていくことが大切なのです。