疫学(epidemioogy)とは、人間の集団を対象として行われるもので、一定の人口集団におけるある疾病の頻度分布を調査研究して、その発生の要因を明らかにして、得られた知見をもとにして、疾病発生の予防や健康増進につなげるものです。
疫学の種類
疫学の種類には、大きく観察研究(observational study)と介入研究(intervention study)の2つに分けることができます。
観察研究は、疾病発生の原因が不明のまま、その特徴や分布の特性を観察して、疾病発生の原因に関する仮説を立てていく記述疫学(descriptive epidemiology)と、仮説を統計学的手法により証明したり検定したりしていく分析疫学(analytical epidemiology)があります。
介入研究は、実験疫学(experimental epidemiology)とも呼ばれ、ある疾患と要員との関連性が確認された場合に、その要因を付加したり除去することにより、影響を評価検討していきますが、これにはランダム化比較試験や非ランダム化比較試験があります。
観察研究
観察研究のうち、『記述疫学』は、疫学において時・所・人(性・年齢・人種・職業など)において異常な集積性を流行といい、この流行の状況を観察して、すべてありのままに記述することで、調査する対象疾患の実態を把握し、その発生要因についての仮説を導いていくものになります。
『分析疫学』は、記述疫学によって得られた発生原因について、仮説を検証・立証するもので、後ろ向き研究(retrospective surbey)と前向き研究(prospective survey)、コホート研究(cohort study)があります。
後ろ向き研究は、ある疾患の有無以外は類似した条件となっている患者群と非患者群について、記述疫学で立てた仮説要因に関する除法を、研究開始より以前に起こった過去の病歴や家族歴、生活習慣などの経歴から調査するものになります。
前向き研究は、ある疾患の原因と疑われる要因に曝露された集団と、されていない集団を選び、これらを将来に向かって追跡観察していくものになります。
コホート研究は、あらかじめ仮説に立てられた特定の要因に曝露された集団と、されていない集団とを設定して、両集団を将来に向かって観察し、それらの集団にどのような疾病が発生するかを調べる研究になり、追跡研究とか、縦断的研究と呼ばれることもあります。
コホートとは、古代ローマの300~600人の歩兵集団のことを指し、疫学ではある共通の因子をもった者の集まりという意味で用いられます。
介入研究
観察試験では、調査対象である集団にいっさい何も手を加えず、ありのままの状態を観察するのに対して、『介入研究』では、意図的に調査対象の集団に要因を付加したり除去することによって影響を調査研究します。
例えば新規の医薬品の効果を臨床試験でみる治験などがありますが、調査対象者に不利益がもたらされないような十分な倫理的配慮がとても重要です。
介入試験を実施するにあたり、介入群と大将軍の割り付けを無作為に行うのがランダム化比較試験(RCT)で、そうでないものが非ランダム化比較試験になります。