病院やクリニックから処方されて薬をもらいますが、きちんと言われた通りに服薬しないと、十分な治療効果が得られなかったりします。
薬も気の持ちよう
薬を飲んでいるからというだけで、治療効果があったりします。
本来は治療効果がないはずの物質でも、心理的要因によって治療効果を示したりします。
こうした効果が『プラセボ』効果といい、薬と全く外見が同じ偽薬(外見は同じだが薬ではない乳糖の錠剤など)のプラセボを服用することで、治療効果を示したりする場合があります。
『プラセボ効果』というと、薬を飲んだと思い込むだけで、実際には偽薬(プラセボ)を飲んでいるのに治療効果が出たというケースを連想する人が多いと思いますが、これは『正のプラセボ効果』で、逆に薬を飲んだから副作用も出るんだと思い込み、実際には偽薬(プラセボ)で薬を飲んでいるわけではないのに、有害反応がでてきたりする場合があり、このようなケースは『負のプラセボ効果』と言われます。
服薬アドヒアランス
『アドヒアランス(adherence)』とは、直訳すると、「固守」や「支持」という意味を持っていて、患者自身が積極的に治療方針の決定に参加し、よく理解して同意をした上で、治療に取り組む患者主体の医療の考え方になります。
以前は、『コンプライアンス』つまり命令に従うという考え方が主流で、『服薬コンプライアンス』などと言われてきましたが、それには治療効果に限界があり、『アドヒアランス』つまり決まりを守るという考え方になってきました。
『服薬アドヒアランス』というと、医師や薬剤師などの医療従事者が服薬に関する情報を説明し、患者が治療や必要性を理解した上でそれに同意し、主体的に服薬を管理する医療の考え方になります。
患者主体ということで薬の自己調節、自己中断などのケースが少なくなるため、治療効果が上がるといわれています。
服薬アドヒアランスへの影響
服薬アドヒアランスは、患者主体で、治療を理解し納得し同意した上で治療に取り組むことになりますが、患者との信頼関係が構築されていなかったり、治療の必要性や服薬方法、副作用などについての説明不足から、うまく決まりを守られないことが起きてきます。
さらには、患者側の誤解であったり、効果や副作用に対する不安の他、薬の包装がうまく開けられなかったり、嚥下困難であったり、記憶力や理解力の低下による飲み忘れや、経済的問題などいろいろな問題があります。
アドヒアランスの向上を図る上でも、服薬指導は大切な役割を担っていて、正しい服薬方法、主作用や副作用の説明、服薬に関する注意事項の伝達などが重要になってきます。
服薬指導は一方的に説明するのではなく、患者個々の症状や体質、生活習慣などの様々な情報を把握し、それぞれに適した指導が求められています。