お薬手帳の薬歴や処方箋等、薬剤師は患者の個人情報や秘密を知る立場にあります。
特に患者には病気のことを他人に知られたくないという心理もあり、より個人情報に関してはナーバスに取り扱う必要があります。
お薬を渡すカウンターを個室にしたり、相談スペースについたてを立てたりと薬局側もいろいろと個人情報の保護に気を使っているところが多くなってきています。
刑法でも規定されている薬剤師の守秘義務
医療関係者である薬剤師は、医師等と同様に患者さんのいろいろな情報を知りうる立場にあります。
初めて来局された人には、名前や年齢はもちろん、病歴やアレルギーなどについても聞き取り、それらの情報を保存します。
お薬手帳を見ても薬歴、それから病歴なども推測することもできます。
薬剤師には、薬剤師倫理規定があり、その第9条では、「薬剤師は、職務上知り得た患者などの秘密を、正当な理由なく漏らさない」という記載があります。
それだけではなく、薬剤師の守秘義務に関しては刑法でも規定があるのです。
刑法134条では「医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。」となっていて、薬剤師に秘密漏示について厳しく取り締まられることになっています。
刑法では、薬剤師は守秘義務が課せられている職業として医師、弁護士と同列に記載されているのです。
薬剤師は医療の担い手として患者のプライバシーについて、正当な理由なしに漏らしてはいけないことを理解する必要があります。
薬局にも深く関係してくる個人情報保護法
2005年4月1日より施行されている個人情報保護法ですが、医療関係者はカルテ、処方箋、お薬手帳、薬歴簿、保険証の情報、調剤報酬明細書、調剤録など患者の個人情報に関するものを非常に多く取り扱っています。
厚生労働省は、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱のためのガイドライン」を定めています。
注意したいのが、これらの保存期間が切れたときに廃棄するときです。
管理しているときはきちんと管理していたけれど、廃棄の仕方がずさんだったために個人情報が漏れてしまうということにもなりかねません。
薬局では個人情報の利用目的をできる限り到底し、その利用目的を通知・公表する必要があります。薬局では「個人情報保護方針」を薬局内に張り出したり、初回患者質問票に個人情報の取扱に対する薬局の姿勢を記載したりして、患者さんに個人情報の利用目的を開示しています。
薬剤師が守秘義務や個人情報保護に関連して注意しなければいけないこと
薬剤師は、守秘義務に関して個人情報保護法以外にも、薬剤師倫理規定第9条や刑法134条によっても規制されています。故意的に個人情報を漏らしてしまうというのは論外ですが、意外とやってしまいそうなことがあります。病院への疑義照会や、薬局実務実習等も個人情報の利用目的になりますので注意が必要です。
保険証のコピーを取る場合にも説明をして許可を得る必要がありますし、薬歴管理は厳重にしないといけません。薬局で患者さんの名前を呼ぶ際、またそれで服薬指導するときにも十分配慮する必要があるのです。