野村監督は、著書の中で、三流は無視、二流は褒める、一流はけなすというようなことを言っていました。
三流は才能が無いのだから早いうちに無視して別の道を歩ませてあげたほうがいい、二流のうちは褒めて育てていく、一流になれば周りも認めているのでそうたやすく褒めないといったところでしょうか。
褒められる心理
人間、誰でもけなされるというマイナスのストロークをもらうより、褒められるというプラスのストロークをもらった方が、気分もいいですし、やる気も出てきます。
もし、部下を褒めたとすると、部下にはどんな感情が生まれるのでしょうか。
「俺って、意外と才能あるのかも」と自分自身に期待するようになります。
さらに「自分は期待されてるんだな」と認識し、期待に応えよう、もっと褒められようと頑張るようになります。
すると、モチベーションが上がり、チームパフォーマンスも向上し、仕事の成績もさらに上がるという結果につながっていきます。
ピグマリオン
たくさん褒められることにより、期待をかけられているんだなと粋に感じた人が、その期待に応えようとさらに努力することをアメリカの教育心理学者であるローゼンタールが、ピグマリオン効果として発表しています。
『ピグマリオン』とは聞きなれない言葉ですが、ギリシャ神話に出てくるキプロスの王の名前えす。
ピグマリオン王は、現実の女性に失望し、史郎の女性の彫像を作らせたのですが、いつしかその彫像に恋焦がれるようになってしまったのです。
そしてピグマリオン王はその彫像からかたときも離れず、衰弱していってしまいます。
そんなピグマリオン王の姿を見かねた女神アフロディーテーが像に命を吹き込み人間の女性に変えたのです。
これが『ピグマリオン効果』の由来で、期待することからよい結果が生まれるということで心理学用語として使われるようになります。
どう褒めればいいのか
褒めるといっても、どうやって褒めればいいのでしょうか。
まずは部下を信じてあげることです。信じることで相手の長所を見つけやすくなるものです。
優秀な部下だと信じてあげることで、相手はそれを察知し、その期待に応えようとやる気を出します。
なかなか褒めるのは苦手だという人もいますが、小さなことでも褒め続けることが大切で、ちょっとした努力を誉めたあげることの積み重ねで、部下は「自分には能力があるのでは?」と思うようになり、より一層仕事に励むようになっていきます。
人間とは面白い生き物で、もともともっている才能や能力を褒められるよりも、努力や過程を褒められた方がモチベーションがあがるものです。
少しだけハードルが高い仕事を依頼し、その成果を上げたことを評価して、具体的にどこが良かったのか指摘してあげることで、良い関係性が生まれてくるものです。
褒めて育つなんて子供みたいに甘ちゃんなこといってないで、仕事はやって当たり前、できて当たり前という考えもごもっともなところはありますが、どうせなら、部下なり周りの人を褒め、気持ちよく仕事をやってもらい、プラスアルファの成果を出していくほうがいいし、WINーWINになれるものです。