集団の優位性を保つ人間のクセ | 薬剤師トピックス

私たちは日常生活の中で、いろいろな集団に属しています。

学校へいけばクラスメート、仕事では会社、さらには部署、オフには趣味仲間の集まりといった具合に、集団の中での立ち位置や所属するまでの背景は様々で、その集団に対する関わり方もさまざまです。

内集団と外集団

欧州の心理学者であるヘンリ・タジフェルらは、人の集団への関わり方に関しての実験を行っています。

通常の日常生活の中では、同じクラスメート、会社の同僚、趣味仲間の友達といった具合に、なにかしらのしがらみというものが結果に影響を及ぼしてしまう可能性があるので、そうしたしがらみのない集団を最小条件集団として、内集団びいきの減少が起きるのかについて検証しています。

内集団とは自分と同じグループの人たち、これに対して違うグループの人たちが外集団になります。

実験では、しがらみがない内集団をつくるべく、実験参加者に2枚の絵を見せて、どちらが好きかという基準のみ2つの集団にグループ分けしました。

参加者は匿名で、たとえ同じグループ内でも顔を合わせることがない状態で実験が行われました。

内集団びいき

つまり同じ集団であるということ以外の情報は何もないという状態で、自分と同じ内集団の人1名と、違う集団である外集団の人1名にお金(ポイント)を分配するという作業を行ってもらいました。

その結果、参加者たちは一貫して内集団のメンバーのほうに多く配分しました。

しかも内集団の利益が最大になるようにではなく、内集団の取り分が少なくなっても、外集団との差異がより大きくなるほうを選んでいたのです。

社会的アイデンティティ

この結果には、人がある集団の一員として自己定義をする『社会的アイデンティティ』が関連していて、単に内集団の取り分が多いということよりも、相対的に外集団よりも多く配分することによって、内集団の優位性が確認できることが重要と考えている結果なのです。

社会的アイデンティティとは、出身高校であったり、所属会社や所属部署であったりといった集団や社会的カテゴリーからとらえた自己認識のことをいいます。

社会的アイデンティティには、男性と女性といった性別や、国籍なども含まれていて、所属している集団が評価されることによって、所属している自分の自尊心が満たされるのです。

日本人にとっては、海外の調査などで日本の評価が良くされていると、なんだか嬉しくなるというのも、こうした社会的アイデンティティからきているのです。

こうすることによって、私たち人間は、好ましい社会的アイデンティティを維持し、自尊心を高めていると言えるのかもしれません。

人間の同じ集団の人をひいきする、そしてその背景にある外集団への差別はこうして発生しているのかもしれません。

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