ビールを作るときの発酵に関して、深く関与してくるのが酵母です。
酵母の働き
酵母は空気中や土壌、水中など、どこにでも存在している単細胞性の真菌類の総称をいいます。
酵母の主な作用としては、糖を分解してアルコールと二酸化炭素を作り出しますが、この働きを応用して、お酒やパンの発酵などの発酵食品づくりに役立てられています。
お酒は昔からあり、かなり昔から自然界の酵母は酒造りに利用されてきたのですが、酵母が学術的に発見されたのはヨーロッパで17世紀に入ってからでした。
発酵食品での酵母
酵母はいろいろな発酵食品で利用されていますが、発酵食品を作るときに使われる酵母は、調理に適した種類を自然界から分離して人工的に培養しています。
パン生地のイースト、日本酒造りに欠かせない清酒酵母、ワインづくりに使われるワイン酵母などがありますが、あえて独自の味わいを出すために、人工的に培養されていない酵母を使用する場合もあります。
ビール酵母は、上面発酵酵母は15~25℃で発酵して、アルコール濃度は4~8%になり、ピルスナーなどラガービールの製造で利用されます。
ビール酵母の下面発酵酵母は、5~15℃で発酵して、アルコール濃度は4~8%になり、ペールエールやIPAなどの製造に用いられます。
ウイスキー酵母は、17~35℃で発酵し、他の酒類と比較すると高温で発酵が行われ、6~9%のアルコール濃度となり、蒸留して濃度が高められていきます。
ワイン酵母は、だいたい10~12℃で発酵し、アルコール濃度は10~12%となります。
ワイン酵母は、ブドウに付着している天然酵母によって発酵が行われたりします。
人気の納豆菌
健康志向が強まる中、健康維持に役立つ発酵食品として納豆菌は注目されています。
納豆菌の大きさは1.0μm程度で、40℃程度で発酵します。
納豆菌は主に稲の藁に生息していますが、空気中や土壌中などいたる所に存在します。
納豆菌は熱に耐性があり、大豆と納豆菌が一緒になることで、納豆菌が増えて大豆は納豆になります。
発酵は良いことづくめ
発酵食品は、食物に微生物が増殖して起こるのですが、微生物により発酵が起こると蛋白質や糖質が分解されることで栄養素の消化・吸収率がアップします。
さらにグルタミン酸などが増えて旨味や風味が増してきます。
またアミノ酸やビタミンが生成されることで栄養価がアップするとともに、増殖した微生物は腐敗菌をブロックもしてくれます。
まさに漬物などが保存食品として利用されてきたというのはこういうことです。