集団の中で変化していく集団規範 | 薬剤師トピックス

人間は社会的動物ですが、集団において、よくそのグループでの独自のルールや慣習、価値観があることもめずらしくありません。

集団ということを大きくとらえると、国民性や民族性ということにもつながりますが、国ごとにいろいろな風習があるというのも、国というグループで独自のルールや慣習があるということにつながっていきます。

集団規範とはどのようなものか

このように、集団の中で共有されている価値判断や行動判断の基準が『集団規範』ということになります。

つまり、個々にバラバラであった個人個人が、ある集団をつくると、その集団の中で共有された価値判断などが生まれてきて、はじめはバラバラだった個人的考え方も、だんだんと似たようなものになっていくというのが集団規範になります。

集団規範はこうして形成されていく

集団規範については、米国の社会心理学者であるムザファー・シェリフが、「光点の自動運動」というものを利用して面白い実験を行っています。

その内容とは、まず2~3人の人を暗室に入れ、その暗闇の中で点状の光を見せます。
次にその人たちに、暗闇の光がどのぐらい動いたかを順番に回答してもらいます。

その結果、個人個人で回答したときはバラバラな数値だったものが、2~3人で一緒に実験を受けた場合は、回数を重ねるごとに、全員の答えが次第に近づいていく傾向が見られました。

実はこの実験、光はまったく動いておらず、動いたように見えるのはただの錯覚だったのですが、複数で行う場合は、他人の答えた数値を参考にするので、だんだんと数値が近づいていくのです。

たとえば、3人の回答が、最初は、7.5、2.3、0.4とバラバラになっていたものが、3人同時の実験を受けていくうちに、1.8,2.4、1.5というように、回答が近づいていくのです。

こうして、本来バラバラであったはずの個人の考えが、集団の中に入ると、他人の行為に相互に影響を受け合うようになり、次第に統一されていくのですが、これこそが集団規範につながっていくのです。

日本の同調圧力と集団規範

集団規範は、所蔵しているメンバーの価値観に左右されていきます。

例えば、「社会人であれば身だしなみが大切である」と考える人が多い集団にはいると、服装や髪型に対して強い集団規範ができやすくなります。

そして同じ集団のメンバーに対しても、その規範に従わせようとする力が働いていきます。
例えば、スポーツなどにしてもチームカラーというものがあり、チームが変わると、ガラッと選手の価値観などが変わったりすることがあります。

またアイドルグループなどでも、そのグループごとに特徴や考え方が違うものの、同じグループのメンバーは、最初は別々の個人だったにもかかわらず、考え方が似てきたりするということがよくあります。

こうした場合は、そのチームやグループの中で、ある集団規範ができあがっているのです。

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