ステーキを食べながら、珈琲は飲むな | 薬剤師トピックス

和食もなかなか美味しく、日本の伝統的な文化なのですが、欧米食の代表選手といえば、ステーキでしょう。
そして、ステーキに合う飲み物といえば、アメリカンコーヒーなどとも言われるように珈琲がその一つにあげられます。

貧血の予防につながる鉄分豊富なステーキ

ナイフとフォークでステーキを食べながら、珈琲を飲むというスタイルは、栄養学的にもったいない食事の仕方というのです。
その理由は、鉄分にあります。

鉄分というと、女性の貧血というイメージがあります。
貧血は、鉄欠乏性貧血に代表されるように、多くは血液中の鉄分が不足するために起こります。
鉄分は、赤血球が酸素を運ぶヘモグロビンの材料となっていますので、鉄分が不足すると体全体が酸欠状態となり、貧血の症状が出てきます。

そして、鉄を多く含んだ食事と言えば、赤身の肉です。
牛肉には豊富に鉄分が含まれていて、鉄分補給のための重要な食材とも言えます。

珈琲は牛肉の鉄分の吸収を妨げる

珈琲と言えば、カフェインの他にタンニンを多く含みます。
このタンニンが、鉄分の吸収を妨げてしまうのです。

薬剤師なら誰でも知っていますが、鉄剤はお茶や珈琲では飲むなというのは、まさにこのことからです。

食品に含まれている鉄分は、日本茶や珈琲に含まれているタンニンと結びつきやすく、一度むすびつくと、その鉄分はうまく吸収することができません。
したがって、せっかくステーキ(牛肉)をいっぱい食べても、タンニンと結びついた鉄分は体に吸収されないということになってしまいます。

嗜好品である日本茶、紅茶、珈琲は、いずれもカフェインとともにタンニンを多く含みます。

日本茶のCMで有名になった茶カテキンも、タンニンの一種です。よく、ポリフェノールという言い方をしますが、日本茶に含まれている渋み成分であるピロガロールカテキンガレート、つまり茶カテキンと言われているものは、化学構造上、当然名前のとおりカテキンですが、タンニンでもあり、ポリフェノールでもあるのです。

珈琲の場合は、成分としてはクロロゲン酸というポリフェノールが有名ですが、クロロゲン酸自体は、タンニンとはされていませんが、珈琲にはクロロゲン酸以外にもカフェタンニンが豊富に含まれています。

実際に、珈琲のタンニンで減る鉄分の吸収ってどれくらい?

鉄剤はお茶や珈琲では飲むなというが、それは知識として認識しておいて、吸収される鉄の量は、実際には一緒に飲んでしまってもさほど変わらないし、少なくとも鉄剤の鉄の量は多いのでさほど問題にはならないという専門家もいます。

しかし、米国での研究では、朝食の飲み物をオレンジジュースではなく紅茶にした場合、吸収される鉄の量が、1/5にまで減ってしまったという研究データもあり、また珈琲を飲みながらハンバーガーを食べると、吸収される鉄分の量が35%になってしまったという研究データもあります。

珈琲を飲むなら、食後落ち着いてからが良い

ステーキは珈琲を飲みながらのほうが美味いという人もいます。

健常な人は、あまり神経質になる必要もありませんが、健康診断で鉄欠乏性貧血と言われているのであれば、ステーキを食べながら珈琲を飲むのではなく、食事が終わって、一服してから珈琲を飲むことをオススメします。

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