「悪事千里を走る」、「人の噂も七十五日」、「噂をすれば影がさす」など、噂に関係したことわざはいろいろあります。
最近では、twitterやfacebook、Lineに代表されるようにSNSが発達し、噂や情報が拡がりやすくなっています。
噂=流言
噂は心理学的には『流言』という呼び方をします。
『流言』とはどういうことなのか、その定義は次のようになっています。
流言 : その正しさを証明する証拠がないにもかかわらず“ 本当であるかのように”に伝えられていく情報
伝言ゲームではありませんが、人から人へと伝わっていく際に、その内容が徐々に変化をしていったり、余分な枝葉が付け加えられたりして、どんどんと事実とは異なった内容になっていってしまうものです。
集団の中での噂
ある実験があります。
個人を対象にビタミン剤を飲ませた後に、「このビタミン剤には心拍数を高める効果があります。」とアナウンスを流すのです。
もちろんビタミン剤にそんな効果はありません。
実際に、ほとんど心拍数の変化は見られません。
ところが、集団実験を行い、その中にサクラを混ぜると実際に心拍数や血圧に変化が起こったという実験結果があります。
集団となったことによって、情報に対してあいまいに反応してしまった典型的な例と言えるでしょう。
集団の中では、誰かが話した情報が偏見に満ちた広がり方をしたりします。
これは人間の集団の中での心理が働くもので、伝えられた情報がたとえ偏見に満ちた情報であったとしても、ひとまず合意しようという雰囲気になります。
人間関係にも応用できるウィンザー効果
噂は人間関係を良くする道具としても利用することができます。
心理学では、ウィンザー効果と呼ばれるものがあって、これは、本人から直接伝えられる情報よりも、第三者から伝えられる情報の方が、信憑性があり影響力が増すというものです。
実際に、インターネット通販でものを買うときも、店員の言葉よりも、口コミ情報や友人などからの情報をより信じるというのも、このウィンザー効果によるものです。
好意を持ってもらいたい人に共通の友人がいる場合、その共通の友人から、あなたの良いところ、素晴らしいところをそれとなく相手に伝えてもらうようにすると、相手の中であなたへの好感度がどんどんアップしていき、好意を持ってもらえるようになる確率がアップするというものです。
噂話に隠れた本音
よく「こんな話を聞いたんだけど・・・」とか「私の友人がこんな意見を言っていたんだKド・・・」というような形で噂をする人がいますが、実は、その人の本音というケースがよくあります。
直接自分の本音をぶつけるとカドが立ちそうな場合や、ワンクッション置きたい場合にこのような形になるのです。