
速く、大量に覚えて、長く忘れない!「科学的に正しい勉強法」
大切なのは、何を覚えるか以上に、「どう覚えるか」には大きな違いがあるということです。
そこで、科学的に正しい勉強法についてまとめてみました。

「勉強時間は十分に取っているのに、なかなか覚えられない」
「昨日覚えたはずなのに、今日になると忘れている」
「試験範囲が広すぎて、全部覚える前に最初のほうを忘れてしまう……」
受験勉強や資格試験の勉強では、誰もが一度はこんな壁にぶつかります。
しかし、ここで大切なのは「自分は記憶力が悪い」と考えることではありません。
実は、何を覚えるか以上に、「どう覚えるか」には大きな違いがあります。
学習心理学や認知科学では、記憶を効率よく定着させるための方法が長年研究されてきました。その中でも特にエビデンスが強いのが、
①検索練習(retrieval practice)
②間隔学習(spacing)
③交互学習(interleaving)
④正解するまでの再学習(successive relearning)
といった方法です。
とりわけ「思い出す練習」と「時間を空けて繰り返すこと」は、現在の学習科学で非常に重要な位置を占めています。
2022年の『Nature Reviews Psychology』のレビューでも、spacing(間隔)とretrieval practice(検索練習)は、学習・記憶を改善する重要な方法として整理されています。
では、具体的にどう勉強すればいいのでしょうか?
受験生や資格試験受験者が「速く覚える」「大量に覚える」「長く忘れない」を同時に実現するための、科学的根拠に基づいた勉強法を紹介します。
まずは、検索練習(retrieval practice)についてです。
勉強しているとき、
「この参考書、何度も読んだから大丈夫」
と思ってしまうことがあります。
ところが、試験本番になると、
「見たことはある。でも答えが出てこない……」
ということが起こります。
これは珍しいことではありません。
ここには、「再認」と「想起」の違いがあります。
普段の勉強で参考書を読み返して、
「ああ、これは知っている」
と思うのは比較的簡単だと思います。
しかし、試験では、
「この問題の答えは何だったか?」
と、頭の中から情報を取り出さなければならないのです。
つまり試験で必要なのは、単に「見覚えがある状態」ではなく、「必要な情報を自力で取り出せる状態」です。
そこで重要になるのが『検索練習』です。
<参考>
「何度も学習したグループ」よりも、「学習後に繰り返しテストして思い出したグループ」のほうが、長期的な保持に優れることを示した代表的研究
The critical importance of retrieval for learning.
Science, 319(5865), 966–968.(2008)
『検索練習(Retrieval Practice)』とは、簡単に言えば、
「答えを見る前に、自分の頭から答えを取り出す練習」です。
たとえば、
「交感神経が優位になると、心拍数はどうなる?」という問題を見たとします。
そこですぐに教科書を開くのではありません。
まず、
「えーっと……心拍数は……増加?」
と、自力で答えを出してみます。
その後で答えを確認します。
『検索練習』で「思い出す」ことで覚えるのが、最重要なテクニックと言われるほど効果的な方法なのです。
この「思い出そうとする行為」そのものが、学習になります。
『検索練習』は、単なる「確認テスト」ではありません。
記憶を取り出す行為そのものが、その後の記憶保持を助けることが研究で示されています。
2025年の系統的レビュー・メタ分析でも、検索練習は単純な再読より学習に有利であることが一貫して報告されています。
では、実際にどうやって勉強をしていけばよいのでしょうか?
例えば参考書を10ページ読んだら、閉じます。
そして、
何を学んだ?
重要なポイントは?
用語の意味は?
なぜそうなる?
具体例は?
試験に出るとしたら何を聞かれる?
と、自分に質問します。
完璧に答えられなくても構いません。
むしろ、
「あれ、何だっけ?」
と頭をひねる時間が重要です。
<参考>
検索練習・テスト効果についての論文
Test-enhanced learning: Taking memory tests improves long-term retention.
Psychological Science, 17(3), 249–255.(2006).
Practicing retrieval facilitates learning.
Annual Review of Psychology, 72, 609–633.(2021).
受験勉強でありがちな失敗が、
参考書を読む ☞ マーカーを引く ☞ もう一度読む
という勉強を延々と続けることです。
もちろん、初めて学ぶ内容を理解するためには「読む」ことが必要ですが、理解した後もずっと読み続ける必要はありません。
むしろ、
読む ☞ 閉じる ☞ 思い出す ☞ 答え合わせ
へと早めに移行することがおすすめです。
たとえば、非効率になりやすい方法
参考書を30分読む ☞ もう一度読む ☞ 重要部分にマーカー ☞ さらにもう一度読む
これに検索練習を取り入れると次のようになります。
参考書を10分読む ☞ 5分間、自分で説明する ☞ 問題を解く ☞ 間違いを確認 ☞ 翌日もう一度思い出す
このようにすると、「勉強した時間」ではなく、実際に記憶を取り出した回数を増やすことができ、より記憶に定着しやすくなります。
<参考>
学習技法を包括的に評価した論文
この論文では、practice testing(練習テスト)とdistributed practice(分散学習)は、特に有効性が高い学習技法として評価しています。
Improving students' learning with effective learning techniques: Promising directions from cognitive and educational psychology.
Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4–58. (2013)
『間隔効果(spacing effect)』は、学習を一度に詰め込むより、時間を空けて複数回学習したほうが、長期的な保持に有利になる現象です。
『間隔学習』で「一気に覚えない」ことが覚えるのに効果的な方法なのです。
大量の知識を覚えたいとき、多くの人は、
「今日は3時間、この科目を徹底的にやろう!」と考えます。
しかし、長期記憶を作るという観点では、必ずしも最適とは限りません。
ここで重要なのが『間隔効果(spacing effect)』なのです。
例えば100個の英単語を覚える場合、
一気に学習する方法では次のようになります。
月曜日に100個を3時間勉強
分散して学習では次のようになります。
月曜日に100個を学習
火曜日にもう一度テスト
木曜日にもう一度テスト
翌週にもう一度テスト
実は、このように間隔を空けて思い出すほうが長期的な記憶には向いていることが証明されています。
<参考>
一気に詰め込むより、時間を空けて複数回学習するほうが長期保持に有利という主張を裏付けする強力なメタ分析論文
Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis.
Psychological Bulletin, 132(3), 354–380. (2006).
学習・記憶というと、「忘れること」を恐れたり、悪にように考える人がいます。
しかし、「忘れること」を恐れてはいけません。ここが非常に重要です。
間隔を空けると、「昨日覚えたのに、もう忘れている……」ということが起こります。
しかし、そこで、
「自分は記憶力が悪い」と落ち込む必要はありません。
むしろ、忘れかけたところで思い出すことが学習になる喜ぶべきことなのです。
一度覚えた情報を、時間を置いてもう一度取り出す。
さらに数日後にまた取り出す。
この繰り返しによって、記憶を維持しやすくしていくのが、強いエビデンスに基づいた最適解なのです。
近年の研究では、検索練習と間隔学習を組み合わせる方法が特に有望とされています。
<参考>
Relearning attenuates the benefits and costs of spacing. Journal of Experimental Psychology:
General, 142(4), 1113–1129. (2013)
『間隔学習』が強いエビデンスに基づいた科学的な記憶法・勉強法ということはわかったけど、それではいったいどうすればいいのでしょうか?
「忘れかけた頃に復習」するいわれてもどうやって実践すればいいのでしょうか?
ここで便利なのが、復習スケジュールをあらかじめ決めてしまう方法です。
例えば、
1回目 : 学習した当日
2回目 : 翌日
3回目 : 3~4日後
4回目 : 1週間後
5回目 : 2~3週間後
6回目 : 1か月後
というように、復習を分散させます。
ただし、これは「絶対にこの日程が最適」という意味ではありません。
試験までの期間や難易度、本人の記憶状態によって調整して構いませんし、個々に違ってきますので、あくまでも目安ということで参考にしてみてください。
重要なのは、「一度覚えたら終わり」ではなく、「何度も時間を空けて思い出す」という考え方です。
<参考>
Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis.
Psychological Bulletin, 132(3), 354–380. (2006).
ここまで特にエビデンスが強い効率的な勉強法・記憶法を考えてみると、「検索練習×間隔学習」の組み合わせが非常に強力な学習法になります。
この学習法は、継続的再学習(Successive Relearning)と呼ばれています。
基本的な考え方は、
①覚える
②思い出す
③正解できるまで練習する
④時間を空ける
⑤もう一度思い出す
⑥さらに別の日にも思い出す
というものです。
RawsonとDunloskyのレビューでは、継続的再学習(Successive Relearning)は「正しくできるようになるまで練習し、その後、間隔を空けた別の学習セッションでも再び正しく取り出す」という方法として整理されています。
さらに、2013年の研究では、検索練習と間隔学習を組み合わせた継続的再学習(Successive Relearning)によって、コース試験の成績や長期保持に意味のある改善が見られました。
つまり、
「覚える ☞ 忘れる ☞ 思い出す ☞ また忘れる ☞もう一度思い出す」
というサイクルを作るのです。
<参考>
The power of successive relearning: Improving performance on course exams and long-term retention.
Educational Psychology Review, 25, 523–548. (2013)
An underexplored but potent technique for obtaining and maintaining knowledge.
Current Directions in Psychological Science, 31(4), 362–368. (2022).
資格試験などで非常に多いのが、
「まず参考書を全部覚える」 ☞ 「全部覚えたら問題集をやる」
という方法です。
真面目で几帳面な人ほど、しっかりと参考書に書いてあることを理解し、覚えてから問題集をこなしていこうという傾向が強いと思いますが、これは効率が悪くなりやすい方法なのです。
最初から問題を使って学ぶことがおススメです。問題集を解きながら覚えていくのです。
例えば、
「消化管から分泌されるホルモンを覚える」なら、
参考書を読む ☞ 問題を見る ☞ 答えを隠す ☞ 思い出す ☞ 間違える ☞ 解説を読む ☞ 翌日もう一度解く
という流れにします。
問題は「勉強の最後にやるもの」ではなく、問題そのものを、記憶を作るための道具として利用していくと効率が良いのです。
<参考>
Improving students' learning with effective learning techniques: Promising directions from cognitive and educational psychology.
Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4–58. (2013)
100問解いて、100問正解した。
こうなれば、もちろん気分は最高です。
しかし、学習効率という観点では、すでに知っている問題を繰り返すより、間違えた問題を正しく取り出せるようにすることが重要です。
そこで、問題を3種類に分類します。
A:完全に答えられた ☞ 次の復習まで間隔を空ける
B:迷ったが正解した ☞ 近いうちに再確認
C:間違えた ☞ 解説を理解し、もう一度自力で答える
特にCを放置しないことが大切です。
そして、「正解を読んだからOK」ではなく、「もう一度、答えを隠して自力で答えられるか?」まで確認することが大切です。
<参考>
The use of retrieval practice in the retention of meaningful study material.
Journal of Memory and Language, 63(1), 17–29.(2010)
記憶を定着させるために有効なのが、自分の言葉で説明することです。
例えば、「インスリン抵抗性とは何か?」と問われたとします。
教科書を見ながらなら説明できるんだけど、でも、本を閉じると説明できない。
これは「分かったつもり」の可能性があるのです。
そこで、
「高校生に説明するとしたら?」くらいのつもりで、声に出して説明してみます。
例えば、
「インスリンが出ていても、筋肉や脂肪組織などが反応しにくくなって、血糖を下げる作用が弱くなる状態……」
というように説明してみて、途中で詰まったら、そこが弱点です。そしてその弱点こそが復習すべきところです。
<参考>
The generation effect: A meta-analytic review.
Memory & Cognition, 35(2), 201–210. (2007)
エビデンスが強い、効率的な学習法の双璧が『検索練習』と『間隔学習』であるとすると、次に知っておきたいのが『交互学習(interleaving)』です。
『交互学習』とは、似たものを混ぜて勉強するということです。
例えば数学なら、「今日は二次方程式だけ50問」とするのではなく、
二次方程式 ☞ 図形 ☞ 確率 ☞ 二次関数 ☞ もう一度二次方程式
というように、異なるタイプの問題を混ぜて勉強していきます。
一見すると、こちらのほうが難しく感じますが、よく考えてみてください。
実際の試験では、「これは○○の問題です」と教えてくれるとは限りません。
問題を見て、「これはどの知識・公式を使う問題なのか?」を判断する必要が出てきます。
そのため、学習時から異なる問題を混ぜることには実践的な意味があるのです。
ただし、一点だけ注意点があります。
初学者が最初から何でも混ぜればよいわけではありません。基本を理解していないうちからいきなり混ぜると、頭が混乱してしまうだけでかえって逆効果です。
まず基本を理解する ☞ ある程度できるようになったら混ぜるという順番が大切なのです。
<参考>
Similarity matters: A meta-analysis of interleaved learning and its moderators.
Psychological Bulletin, 145(11), 1029–1052. (2019)
蛍光ペンで重要部分を塗ること自体は、悪いことではありません。
しかし、蛍光ペンを引いて覚えた気になっていることが問題なのです。
「線を引いた=覚えた」ではありません。
記憶を強くするためには、「このページの重要事項は?」と、本を閉じて答えられるかを確認することが効果的です。
おすすめは、
読む ☞ 閉じる ☞ 思い出す ☞ 問題を解く ☞ 間違いを確認 ☞ 時間を空ける ☞ 再び思い出す
のサイクルで、このサイクルを回すことが、受験勉強の基本になります。
マーカーを引くだけで覚えたとと判断しないことが大切です。
<参考>
Improving students' learning with effective learning techniques: Promising directions from cognitive and educational psychology.
Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4–58. (2013)
『正解するまで再学習(successive relearning)』するということについて、よく使われるのが『単語カード』です。
英単語、法律用語、医学用語、薬理学、歴史、資格試験の定義など、単純な知識を大量に覚える場合は、フラッシュカードが非常に使いやすい方法です。
ただし、カードの使い方が重要です。
表:「交感神経刺激による心拍数への影響は?」
裏:「増加」
カードの作り方はこのように普通ですが、使い方が重要で、ただカードをめくって確認するのではなく、答えを見る前に必ず思い出すようにします。
さらに、「知っているカードを何十回も繰り返す」のではなく、「忘れていたカードを優先的に復習する」ようにします。
表を見る ☞ 裏を見る
ではなく、
表を見る ☞ 答えを思い出す ☞ 裏を見る ☞ 間違っていたら再学習
としてやっていくのが効果的で、これなら大量の知識を効率よく管理できます。
<参考>
The critical importance of retrieval for learning.
Science, 319(5865), 966–968.(2008)
Test-enhanced learning: Taking memory tests improves long-term retention.
Psychological Science, 17(3), 249–255.(2006).
An underexplored but potent technique for obtaining and maintaining knowledge.
Current Directions in Psychological Science, 31(4), 362–368. (2022)
覚えてからすぐにテストしてみるのが、『黄金のルーティン』です。
(勉強法の一例)例えば1時間勉強するとしましょう。
0~20分 : 新しい内容を理解する
20~35分 : 参考書を閉じて、思い出す
35~50分 : 問題を解く
50~60分 : 間違えた部分を確認
翌日 : 前日の内容を最初に5~10分テストする。
これだけでも勉強の質が大きく変わります。
ポイントは、新しいことを覚える前に、昨日のことを思い出すことです。
「復習してから新規学習」という順番を習慣にすると、忘却を放置しにくくなります。
<参考>
Improving students' learning with effective learning techniques: Promising directions from cognitive and educational psychology.
Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4–58. (2013)
試験前になると、「最初から全部復習しなきゃ!」と多くの人が考えてしまいます。
しかし、試験直前ほど重要なのは、「自分がまだ答えられないもの」を狙い撃ちすることです。
例えば1000問の問題集があったとします。
すでに900問を確実に答えられるなら、1000問を最初からやり直すより、間違えた100問+迷った問題を重点的に復習したほうが効率的です。
これは「勉強量を減らす」という意味ではありません。
限られた時間を、弱点に集中投下するということです。
こうすることで点数アップできる可能性が広がります。
<参考>
An underexplored but potent technique for obtaining and maintaining knowledge.
Current Directions in Psychological Science, 31(4), 362–368. (2022).
Improving students' learning with effective learning techniques: Promising directions from cognitive and educational psychology.
Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4–58. (2013)
The power of successive relearning: Improving performance on course exams and long-term retention.
Educational Psychology Review, 25, 523–548. (2013)
昔は、四当五落とか、三当四落なんていう言葉もありました。
つまり、勉強をして睡眠時間が四時間だったら合格できるけど、5時間も寝ていたら合格できないというもので、もっと過激なものとして、三時間なら合格だけど四時間も寝ているようだと合格できない、それくらい寝る時間も削って勉強をすることが大切だという根性論のような言葉もありました。
これは科学的には全く間違ったもので、体を壊すだけです。
実際に勉強をしていても「あと3時間勉強したいから、今日は睡眠を3時間削ろう」という誘惑があります。
しかし、記憶は「覚えた瞬間」に完成するわけではありません。
睡眠と記憶の固定については、多くの研究が蓄積されており、レビューでも睡眠が学習した情報の保持や技能学習の定着に重要な役割を持つことがわかってきています。
もちろん「寝れば勝手に暗記できる」なんていうドラえもんの世界みたいなことはありませんが、重要なのは、勉強時間を確保するために睡眠を極端に削るのではなく、学習と睡眠をセットで考えることということです。
特に試験前日は、徹夜で新しい知識を詰め込むより、これまで学習してきた内容を軽く検索練習し、睡眠を確保するほうが合理的なのです。
<参考>
System consolidation of memory during sleep.
Psychological Research, 76, 192–203.(2012)
Sleep for preserving and transforming episodic memory.
Annual Review of Neuroscience, 36, 79–102.(2013)
ここまでの内容をまとめると、効率のよい学習には共通点があります。
それは、「勉強した時間」より「自分の頭から何回取り出したか」を重視していることです。
効率が悪くなりやすい勉強
読む ☞ 読む ☞ マーカー ☞ 読む ☞ 「覚えた気がする」
以外と多くの人がこの効率が悪くなりやすい勉強をしていたりします。
そうではなく、
科学的根拠の強い方法
理解する ☞ 本を閉じる ☞ 思い出す ☞ 問題を解く ☞ 間違いを確認 ☞ 時間を空ける ☞ もう一度思い出す ☞ さらに数日後に思い出す
という流れです。
それぞれ学習のやり方については、個々に向いている方法があり、一概にこれが正解だということは言えませんが、今までのやり方でうまくいかないのであれば、多くの研究でエビデンスがあるこの方法を検討してみてもいいかと思います。
最後に、これだけ覚えておけばよいという形にまとめます。
STEP 1 まず理解する: 精緻化 / 有意味学習
最初から丸暗記しようとせず、
「これは何なのか?」
「なぜそうなるのか?」
を理解します。
STEP 2 すぐに本を閉じる: 想起練習
そして、
「今、何を覚えた?」
と自分に問いかけます。
STEP 3 問題を解く: 模擬テスト / 練習テスト
答えを見ずに、自分の頭から情報を取り出します。
「思い出すこと」が暗記の中心です。
STEP 4 時間を空けて再テスト: 間隔効果
翌日、数日後、1週間後……というように、間隔を空けてもう一度思い出します。
「忘れてしまった!」
というときこそ、もう一度取り出すチャンスです。
STEP 5 間違えたものを重点的に繰り返す: 継続的再学習
すでに完全に覚えたものばかりを何度も復習するのではなく、
「まだ思い出せないもの」に時間を使います。
そして受験勉強や資格試験の勉強で、最も大切な発想を一つだけ挙げるなら
「覚える時間を増やす」のではなく、「思い出す回数を増やす」
ということです。
そして、
「一気に覚える」のではなく、「時間を空けて何度も思い出す」
こと。
この2つを組み合わせるだけでも、普段の勉強方法はかなり変わってくると思います。
つまり、
理解する ☞ 思い出す ☞ 間違える ☞ 修正する ☞ 時間を空ける ☞ また思い出す
というサイクルです。
「昨日覚えたことを、今日また覚え直すなんて時間の無駄じゃない?」と思うかもしれませんし、効率が悪いと感じるかもしれません。
また、どんどん先に進みたいという誘惑もあります。
ところが、学習科学が教えてくれる結論は、むしろその逆です。
「忘れないように一度で完璧に覚える」のではなく、「忘れかけた記憶を何度も取り出して強くする」。
この発想が、長期記憶を作るうえで非常に重要なのです。
そしてもう一つ忘れてはいけないのが、
「速く覚えること」と「長く覚えていること」は、必ずしも同じではない
という点です。
一晩で100個覚えられても、1週間後に90個忘れていたら、試験勉強としては効率がよくありません。
反対に、最初は少し苦労しても、翌日、数日後、1週間後と繰り返して取り出せるようにしていけば、知識はより長く使えるものになります。
だからこそ、受験勉強では、
「今日どれだけ覚えたか?」
だけでなく、
「来週、どれだけ思い出せるか?」
を基準に考えることが大切です。
これが、「速く、大量に覚え、長く忘れない」ための科学的な勉強法の基本です。