ロコモ・サルコペニア・フレイルと健康

ロコモ・サルコペニア・フレイルと健康

高齢化社会をむかえた日本、いつまでも健康で元気よくということで健康寿命ということが言われ出し、ロコモ・サルコペニア・フレイルとうった言葉が使われ出しています。その違いについてまとめました。

ロコモ・サルコペニア・フレイルとの関連

「最近、階段がつらくなった」 「横断歩道を渡り切るのがやっと……」
そんな体の変化を、単なる「年のせい」で片付けてはいませんか?


健やかな老後を守るために、今、私たちが知っておくべき3つのキーワードがあります。
それが「サルコペニア」「ロコモ」「フレイル」です。


高齢化社会になり、介護などに関連して、ロコモ・サルコペニア・フレイルといった言葉をよく耳にするようになってきました。
似たような言葉なのですが、それぞれ違った意味合いをもっています。
しかし、これらは医学書などをみても載っていなかったり、小カラム的な扱いであったりします。


ロコモ・サルコペニア・フレイルの関連性については、はっきりと確定したものはありませんが、診断基準・判定基準、関連文献などをもとに、ロコモとサルコペニアとフレイルはそれぞれどんな位置づけにあり、どのような関連性があるのかについてまとめてみました。


要介護になる前に対策

機能食品においても、「サルコペニア」「ロコモ」「フレイル」を意識した商品も出てきているので、この3つについては名前ぐらいは聞いたことがあるという人もいると思います。


3つの関連性については、日本の老年医学やリハビリテーションの分野で、サルコペニア・ロコモ・フレイルの3つの概念の関係性を整理する際に必ずと言っていいほど引用される非常に重要な文献があります。


それは、サルコペニア・フレイル研究の国内拠点である国立長寿医療研究センターが体力科学という雑誌に「サルコペニア・ロコモ・フレイルの相互関係」というタイトルで掲載した論文になります。


<参考文献>
「サルコペニア・ロコモ・フレイルの相互関係」、体力科学 65(3) p.337-341,2016

サルコペニア・ロコモ・フレイルの相互関係

これら3つについては、提唱している組織や団体も違い、視点・アプローチが違うものをすっきりと一つにまとめるのは難しいのですが、多く引用される図なので、参考としてこの論文でまとめられている図を引用するとこんな感じになります。


この図は、サルコペニア・フレイル研究の国内拠点である国立長寿医療研究センターでまとめられています。


「サルコペニア」「ロコモ」「フレイル」は、ともに誰かの助けが必要な状態である『要介護』の状態になる前の可逆性がある状態を早期に発見して対策をしていくという目的のためのものですが、視点やアプローチの仕方によって違いがあります。


3つの違いを一言で述べると次のようになります。
『サルコペニア』は、筋肉そのものの「量」と「力」の減少を指す「筋肉の問題」という視点からみています。
『ロコモ(ロコモティブシンドローム)』は、関節や骨なども含めた「移動機能」全体の衰えという視点からみています。
『フレイル』は、身体のみならず、認知機能や気力の低下、社会的な孤立まで含んだ「虚弱」という広い視点からみています。
フレイルは、虚弱という広い視点で、身体的フレイル精神・心理的フレイル社会的フレイルがあります。


図の中で例えば、骨粗鬆症・関節症で筋量はあるけど少し移動しにくいといった場合は、フレイルではないけどロコモということになります。
また、糖尿病などで疲れやすいといった場合、筋力はあるし、移動にも支障はないけど、身体的フレイルのリスクがあります。
きちんとチェックして、自分の状態を把握しておくことも大切です。

ロコモ・サルコペニア・フレイル

ロコモ:ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome 運動器症候群)

ロコモは、ロコモティブシンドロームと言われ、日本語訳だと運動器症候群になります。
運動器の障害によって移動機能が低下した状態のことを指します。
ポイントは、移動機能について注目している点です。
移動機能が落ちることは、生活機能の低下にもつながります。


21世紀になってからできた新しい概念で、日本整形外科学会が2007年に提唱したものです。日本は高齢化が進み、平均寿命は男女とも80歳を超える時代となり、それゆえに運動器の障害によって移動機能が低下したロコモが介護面からも重要視されるようになってきました。
ちなみに、運動器とは、骨・関節、軟骨・背骨・椎間板・筋肉・神経などの総称で、これらが連携して機能することで体をスムーズに動かせるものです。


サルコペニア:(sarcopenia)

サルコペニアは、ギリシャ語で、筋肉を意味するサルコと、喪失を意味するペニアから、1989年に提唱された造語で、加齢や疾患により筋肉量が減少することで、全身の筋力低下および身体機能の低下が起こることを言います。


20歳代と比較すると、70歳までに筋力は30~40%、骨格筋面積は25~30%減少すると言われています。
さらに、50歳以降になると、毎年1~2%程度筋肉量が減少すると言われています。


サルコペニアは、加齢や疾患により筋肉量が減少することで、全身の筋力低下および身体機能の低下が起こることです。
ポイントは、筋力の低下について注目をしているという点です。
歩行速度や握力、筋肉量などから筋力量の減少を評価していきます。


ロコモ(ロコモティブシンドローム)

フレイルは、フレイルティのことで、日本語でいうと虚弱という意味になります。
厚生労働省研究班の報告書では、「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」としています。


加齢に伴う種々の機能低下を基盤として、いろいろな健康障害に対する脆弱性が増加している状態を指します。筋力面・身体面だけでなく、精神面や社会面のことも考慮した判定になっています。
ポイントは、生活機能が障害され、心身虚弱状態ではあるが、介入や支援により戻るという点です。
つまり、フレイルに早く気づいて、正しい介入、つまり治療や予防をすることが大切なのです。
フレイルには、体重減少や筋力低下などの身体的な変化だけでなく、気力の低下などの精神的な変化や社会的なものも含まれます。
フレイルの状態になると、身体能力の低下が起こり、ストレスに弱い状態にもなっていて、死亡率の上昇にもつながります。