
物忘れ・肥満・高血圧は、睡眠時間と深く関係しています。
睡眠時間は寿命との関係もいろいろと言われていて、最適な睡眠時間は7時間と言われています。
これよりも短くても、逆に寝すぎても寿命が短くなる傾向が見られています。
特に、睡眠時間が5時間未満だったり、9時間以上の人は、注意したほうが良いともいわれています。
実際に米国でも似たような調査が行われていて、やはり最も死亡率が少ない平均睡眠時間は、7時間半という結果がでています。
一方、理想的な睡眠時間は、人それぞれだという意見もあります。
しかし、いずれにしろ、睡眠不足がずっと続いている状態はよくありません。睡眠時間が不足した状態が続くと、憂うつな気分になりやすくなったり、集中力が落ちて実力が発揮できなくなったりしてきます。
テレビの番組では、単語を50個覚えさせて、その後5時間睡眠をとったグループと、睡眠をまったくとらなかったグループにわけ、その後、単語をどのくらい覚えているかをテストしていました。睡眠時間をとらなかったグループが思い出した単語数は、平均27であったのに対し、5時間睡眠をとったグループでは、34個と差がでていました。
実際には、この実験は3人で行っており、個人差もあり、しかも実験した人の数も少なく、またこの実験を行った時間が不明なので、一概にこれだけで結論を出せるというわけではありませんが、ひとつの傾向としてそういう傾向があったということは言えるでしょう。
脳は、寝ている間に、海馬で必要な記憶事項と、そうでない事項を種分けしているといわれていて、寝ていないと、脳が服がバラバラに入ったタンスと同じような状態で、必要なものがすぐにとりだせないため、物忘れのようにいざというときに思い出せないということになります。
睡眠時間が短いと高血圧になりやすいと言われますが、これは睡眠が浅いと、夜中に目が覚めたりします。するとその時、自律神経が起きるモードに切り替わり、つまり交感神経が副交感神経よりも優位に働くようになります。
交感神経は、血圧を上昇させる方向に働きかけるので、血圧が上昇した時間が長くなり、高血圧になりやすくなります。
実はこの○○○は、睡眠と非常に深い関係にあります。
この○○○が、質の良い睡眠を得るための鍵となっています。
それでは○○○とは何か? というと、○○○は、『深部体温』です。
深部体温は、体の内部の温度で、体の表面の体温(表面体温)よりも高くなっています。
この深部体温は、体の内側の温度なので、脳や内臓の体温とも言え、朝起きる前に上がりはじめ、夕方ごろピークとなり、就寝時間に向けて下がっていきます。
だいたい1日のうちに約1℃程度の範囲内で日内変動があり、一番低いのが朝4時~5時、そしてピークは夜19時~20時が普通です。
質が良い眠りは、就寝前から深部体温が下がりはじめ、朝方までずっと下がり続け、起きる少し前から徐々に立ち上がってきます。
これに対し、夜中に目が覚めたりするように睡眠の質が悪い人は、深部体温は下がりつづけていきますが、夜中の1時ごろに下がり続けてきた深部体温が上昇してきてしまいます。
これでは、深部体温がしっかり下がり、たっぷりとした睡眠をとることができなくなってしまいます。
より良い睡眠をとるためには、深部体温が夜、しっかりと下がるようにしてあげることが必要です。
このために、有用な生活習慣として、、朝の20分程度の散歩と夜寝る前の入浴があります。
朝、20分の散歩をすると、その時、しっかりと太陽の光を浴びることになります。太陽の光を浴びることにより、睡眠ホルモンといわれるメラトニンの体内時計がリセットされます。
太陽の光を浴びてから15時間~16時間後にメラトニンが分泌しはじめ、これにより深部体温が下がってきます。
また、歩くことにより、睡眠物質といわれるウリジンがたまっていきます。ウリジンは、抑制性の神経伝達物質であるGABA(ギャバ)の働きを促す働きがあり、そのため眠気が促されてきます。
また同じく睡眠物質と言われている酸化型グルタチオンもたまっていきます。酸化型グルタチオンは、興奮性神経伝達物質であるグルタメートの働きを抑える作用があることから、やはりたまることにより眠気が促されていきます。
風呂に入ると、体が芯から温まってきますが、深部体温も風呂に入ることによって上昇します。
しかし、風呂から出てしばらくすると、その反動で深部体温は下がり始めてきます。
この下がり始めてくるタイミングで寝ると、入眠しやすく質の良い睡眠をとりやすくなります。
それでは、どのような風呂の入り方をすればよいかというと、寝る2時間前がベストで、お湯の温度は約40℃、入浴時間は10分が良いとされています。