健康雑誌を読むと、白内障や緑内障のケアの項目のところに、よく出てきているのが「アワビの粉末」です。
アワビの粉末を飲んでいて、白内障が改善された、視界が少しずつクリアになってきた、目の疲れが取れるようになった、目のショボショボ感がだんだんと軽くなってきたといったような体験談がいろいろ書かれています。
そこで、このアワビの粉末って本当に効果があるのだろうか?
アワビというと高級食材としては知られていますが、その効果について、まずは定番の国立健康・栄養研究所の『「健康食品」の安全性・有効性情報』 を調べてみますが、収載されていません。
サプリメント事典やナチュラルメシシンデータベース、さらにはメディカルハーブがいっぱい収載されている事典のような本をみても、「アワビ」というのは、動物性のものであるせいもあってか、見つけることができません。
実は、このアワビは「石決明(せつけつめい)」と呼ばれる生薬になっていて、漢方の生薬関連の本を見ると、生薬名「石決明」で見つけることができます。
石決明は、その名からも目の病気に効果があるような名前ですが、実際にも多くの目の病気に用いられています。
江戸時代の文献にも、アワビを粉末や軟膏にして用いていたという記載があります。
漢方的に言うと、アワビには肝と腎の機能を高める働きがあることから、緑内障や白内障に対して効果があると言われています。
石決明は、ミミガイ科目のアワビ類、九孔鮑 Haliotis diversicolor や 盤大鮑 H. gigantea discus などの貝殻が用いられ、日本では主にアワビ科 giganteaや、トコブシ Sulculus aquatilis の貝殻等が用いられています。
成分は、炭酸カルシウムや鉄、マグネシウム、ケイ酸塩が多く含まれています。
ちなみに、漢方で良く出てくる生薬である決明子はエビスグサで全く違ったものです。
石決明の主な作用としては、鎮静さようによって、頭痛や痙攣、眩暈といったものを抑えることができることから、自律神経失調によるこれらの症状や不眠などに用いられます。
また明目作用があり、視力の低下や角膜の混濁に対して用いられます。
漢方では「目は、血で物を見る」という言葉があり、これは、目は血液循環が改善して体調が良くなれば、物を見ることができる」ということを示しています。
つまり、漢方では、目の見え方は、体全体の体調と深い関係があるという考えになっています。