
問診は、既往歴・家族歴や症状、さらに薬物治療歴などを患者さんから聞き取り、診断に役立てるというものですが、この問診は緑内障の診断や管理方針を決める際にも必要不可欠のものになってきます。
緑内障と言えば、眼圧が高くなることから眼圧を検査すれば良いのではないか、あるいは眼圧を測定しただけではわからない正常眼圧緑内障であっても、視野検査などを行えば診断ができることから、何も問診なんて行わなくてもいいのではないかと思いがちですが、急性型の症状を判断する上で重要なのです。
急性型の緑内障では、隅角が広範囲に閉塞し、短時間に眼圧が上昇してくることから、緑内障発作といわれる臨床症状を起こします。
急性型の緑内障(急性原発閉塞隅角緑内障・急性原発閉塞隅角症)の場合、眼圧の上昇が40~80mmHgになることもあり、その際に、視力低下や対光反射の減弱・消失(光に対する反応がにぶくなる)がでてきます。
さらに、霧視、虹視症、眼痛、頭痛、悪心・嘔吐などの自覚症状がでてきたりします。
もちろん、こうした自覚症状があまり出てこないケースもありますが、もしこうした症状がある場合は、急性型の緑内障発作が疑われたりもします。
突然強い眼痛が起こる場合は、急性緑内障発作で眼圧が著しく上昇したことが原因の可能性も考えられます。
眼痛は、角膜上皮障害やぶどう膜炎による毛様体刺激などでも起きますが、眼圧が急に著しく上昇する急性緑内障発作においてもみられる症状なので注意が必要です。
霧の視覚、つまり視界が霧がかかっているようにぼやける症状を言います。
多くの場合、屈折異常によって起こりますが、白内障や加齢製黄斑変性、糖尿病網膜症などによってもみられます。
屈折異常や、水晶体などの混濁の他に、網膜の病気や視神経の病気によっても起こる症状で、急性緑内障発作においても霧視が見られる場合があります。
強い光を浴びたとき不快感や目の痛みを感じることで、異常にまぶしさを感じる状態です。
電灯などを見たとき、周りに虹がかかったように見える症状です。
角膜全体がなめらかでない場合、光が乱反射して虹視症が起こります。
では、なぜ緑内障の症状として虹視症が関係するのかというと、緑内障で眼圧が高くなっている状態だと、そのために角膜にむくみができるため、角膜全体がなめらかでなくなり、光の乱反射が起こり、虹視症が現れます。
これらの症状は、急性緑内障発作の一つの症状として急で著しい眼圧の上昇によって起こる場合があります。
もしこれらに、視力低下や羞明,虹視症などの症状があれば、急性緑内障発作の可能性があります。