初期症状

中毒性表皮壊死融解症(ライエル症候群、ライエル症候群型薬疹)
高熱(38°C以上)、目の充血、くちびるのただれ、のどの痛み、皮膚の広い範囲が赤くなるなどがあり、その症状が持続したり、急激に悪くなったりします。

危険因子

医薬品を服用し、皮疹や呼吸器症状・肝機能障害などを認めた既往のある患者。
肝・腎機能障害のある人は、重症化しやすい。

特徴

体表面積の10%を越える水疱・表皮剥離・びらん、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)を除外できる、発熱が必須の主要所見。
次の3項目全てを満たす場合は、TEN。
皮疹は広範囲のびまん性紅斑および斑状紅斑・粘膜疹を伴う、眼表面上皮(角膜と結膜)でびらんと偽膜のどちらかあるいは両方を伴う、病理組織学的に顕著な表皮の壊死を認める。

 

発熱(38°C以上)、粘膜症状(結膜充血、口唇びらん、咽頭痛、陰部びらん、排尿排便時痛)、多発する紅斑(進行すると水疱・びらんを形成)を伴う皮疹の 3 つが主要徴候。
全身の発疹が増えるにつれて、眼の炎症も高度となり、偽膜形成、眼表面(角膜、結膜)の上皮障害を伴うようになる。

他覚所見

多形紅斑様皮疹(浮腫性紅斑、flatatypicaltargets、maculesand/orblistersと表現される多形紅斑様皮疹、もしくは 38°C以上の発熱を伴って急激に発症する広汎な潮紅とびらん)・ 眼の充血、めやに、まぶたの腫れ、目が開けづらい・ 口唇の出血性びらん・血痂,口腔咽頭粘膜びらん、肛囲・外尿道口の発赤・びらん

臨床所見

CRP 増加、白血球増加・もしくは白血球減少を含む骨髄障害、肝機能障
害、腎機能障害、血尿・血便。
表皮の広範な壊死性変化が特徴であり、表皮細胞の全層にわたる壊死と表皮-真皮間の裂隙(表皮下水疱)形成がみられる。

原因薬剤

生物質、解熱消炎鎮痛薬、抗てんかん薬、痛風治療薬、サルファ剤、消化性潰瘍薬、催眠鎮静薬・抗不安薬、精神神経用薬、緑内障治療薬、筋弛緩薬、高血圧治療薬など広範囲

発生機序

免疫・アレルギー反応により発症すると考えられているが、種々の説が唱えられており、未だ統一された見解はない。
活性化された細胞傷害性 T リンパ球(CD8 陽性 T 細胞)の表皮細胞攻撃の結果ではないかと言われています。

発症までの期間

服用後 2 週間以内に発症することが多い。
数日以内あるいは1ヵ月以上のこともある。
なお、眼病変は、皮膚または他の部位の粘膜病変とほぼ同時に、あるいは皮膚病変より半日ないし1日程度先行して認められ、両眼性の急性結膜炎を生じる。

対応

高熱(38°C以上)、目の充血、くちびるのただれ、のどの痛み、皮膚の広い範囲が赤くなるなどがあり、その症状が持続したり、急激に悪くなったりで、医薬品を服用している場合は、受診するようにしてください。
皮膚生検で確定診断を早急に行い、併せて肝・腎機能検査を含む血液検査、呼吸機能検査等を実施し、全身管理を行う。
薬剤の中止、感染症が否定できれば、副腎皮質ホルモンの大量投与や、ステロイドパルス療法、血漿交換療法などがあります。