初期症状

手足・肩・腰・その他の筋肉が痛む、手足がしびれる、手足に力がはいらない、こわばる、全身がだるい、尿の色が赤褐色になる。

危険因子

腎臓機能障害

特徴

骨格筋の細胞が融解・壊死することにより、筋肉の痛みや脱力などを生じます。
血中に流出した大量のミオグロビンにより、腎臓の尿細管がダメージを受け、急性腎不全を起こす場合もあります。
多臓器不全を併発したりする場合もあり、服用中止、輸液療法、血液透析など腎機能の保護をはかり、回復の可能性を高める必要があります。
自覚症状として、筋力低下、疲労感、筋痛が主症状としてあります。

他覚所見

筋力低下・筋肉の圧痛・把握痛・ミオグロビン尿

臨床所見

血中CK上昇。
腎障害の程度は、もともと腎障害がある場合には軽度の上昇でも腎障害が強く出る場合があります。
CK 上昇とともにLDH、AST(GOT)、ALT(GPT)も上昇する。
ミオグロビン尿・ミオグロビン血症の診断は免疫抗体法が確実であるが、迅速診断は難しい。
生検を行うと急性筋融解による筋線維の壊死・再生所見が認められる。

原因薬剤

高脂血症薬、抗生物質(ニューキノロン系)
HMG-CoA 還元酵素阻害薬による場合は、服用開始後数ヵ月経過し徐々に発症する。筋痛が先行することが多い。
フィブラート系高脂血薬は、使用数ヵ月から2年程度までの期間に発症することが多い。
ニューキノロン系を主体とする抗生物質は、直接的な筋毒性が示唆されていて、投与初期数日以内に急性に発症します。
抗精神病薬による場合は、軽症ではCK上昇、発熱などを示すのみで治療により軽快する。
抗パーキンソン病薬、麻酔薬、筋弛緩剤
低カリウム血症などの電解質異常をきたす医薬品
シクロスポリン、タクロリムス、コルヒチン、ジドブジン、オメプラゾール

発症までの期間

ニューキノロン系のように筋毒性からくるものは、投与後数日以内に急性に発症、高脂血症薬などでは、数ヵ月経過し徐々に発症。

対応

手足・肩・腰・その他の筋肉が痛む、手足がしびれる、手足に力がはいらない、こわばる、全身がだるい、尿の色が赤褐色になる場合で、医薬品を服用している場合は、専門家に相談します。
薬剤の服用を中止し、腎機能がまだ障害されていない場合は輸液を積極的に行い、1時間尿量を100mL以上に保つなど腎保護をはかる。
ミオグロビンによる二次的な腎障害の予防・治療が重要。
急性腎不全が進行した場合には、血液透析を行い回復を待つ。