初期症状

手足に点状出血、あおあざができやすい、出血しやすい(歯ぐきの出血・鼻血・生理が止まりにくい)
通常では症状が出ないような軽微な外力によっても皮下の紫斑(四肢に多い)、歯磨き時の歯肉出血、鼻出血などが出やすくなったり、生理出血の量が増える。

危険因子

腎機能障害、肝機能障害、骨髄機能抑制が認められる場合、または自己免疫疾患の診断を受けている場合には、発症頻度が高くなる傾向。

特徴

通常、15~35万/mm3の血小板数が10 万/mm3以下となった状態を血小板減少症というが、多くは、5万/mm3以下で認められる。
皮下、粘膜の出血症状による、誘因なくして皮下の点状出血及び紫斑、鼻出血、口腔内、出血、歯肉出血、眼球結膜下出血、消化管出血、血尿、あるいは軽度の機械的刺激により(例えば打撲等)皮下出血や粘膜出血を起こしやすい。
女性では生理出血が止まりにくくなったり、出血量が増えたりする。

他覚所見

紫斑を始めとする皮膚、粘膜の各種出血症状が認められる。
脳出血の場合は、意識障害、運動、知覚障害、消化管出血の場合は下血、吐血、尿路出血による血尿、黒色便、鮮血便などが挙げられる。
出血が高度の場合には出血性貧血を来たし、顔色不良、眼瞼結膜の貧血、重症例では血圧低下を起こす。

臨床所見

臨床所見血小板数の減少(10 万/mm3以下となる)、赤血球数、Hbの減少が出血の程度に応じて認められることがある(出血が高度の場合は出血性貧血を呈する)。白血球数、白血球分画には異常を認めないことが多い。

原因薬剤

○初回の医薬品投与にかかわらず投与後数時間で発症するもの : アブシキシマブ
○投与後長期間かかる医薬品(平均120~180日) : 金製剤、ペニシラミン、バルプロ酸
○比較的重症の血小板減少で出血傾向の頻度が高いもの : 金製剤、スルフイソキサゾール、トリメトプリム-スルファメトキサゾール、キニン、キニジン
○軽度の血小板減少にとどまり出血傾向も軽度のもの :  ペニシラミン、チアジド系利尿薬、バルプロ酸ナトリウム、カルバマゼピン
○血小板減少の回復が遅延するもの : 金製剤

発生機序

医薬品が可逆的に血小板膜蛋白に結合することによって膜蛋白に形態的変化が起こり、新たな抗原が露出し、これに対して抗体が産生される。
この抗体が医薬品存在下で血小板と結合し、血小板減少を引き起こします。
医薬品によって、結合する血小板膜蛋白が異なる。

発症までの期間

医薬品を服用してから、7日~2週間後に症状が出やすい。
同じ医薬品によっても短期間に現れる場合と、数ヵ月、数年後に現れる場合がありまちまち。
過去に同一医薬品を投与されている場合は、数時間~5日以内で血小板減少が発現することが多い。

対応

手足に点状出血、あおあざができやすい、出血しやすい(歯ぐきの出血・鼻血・生理が止まりにくい)の症状が出て、医薬品を服用している場合は、受診をお奨め。
投与薬剤を直ちに中止する。
出血傾向や血小板減少が重篤な場合は、副腎皮質ホルモン、γ-グロブリン大量療法等を行う。また著しい出血時には血小板輸血。