初期症状

手足のだるさ、しびれ、つっぱり感、こわばりがみられ、これらに加えて、力が抜ける感じ、こむら返り、筋肉痛が現れて、だんだんきつくなる。

危険因子

男:女 = 1:2 で女性の発症が多い。全体の80%が50~80歳代。
低身長、低体重など体表面積が小さい者や高齢者に生じやすいとされる。

特徴

高血圧、低カリウム血症、代謝性アルカローシス、低カリウム血性ミオパチーなどの原発性アルドステロン症様の症状・所見を示すが、血漿アルドステロン濃度(PAC)がむしろ低下を示す症候群である。
甘草あるいはその有効成分であるグリチルリチン酸を含有する医薬品などを服用したことにより生じるものが主体である
起立・歩行困難、四肢麻痺発作、意識消失で発症する場合もある。低カリウム血症による腎尿細管機能障害から多尿になる場合もある。
まれに神経・筋障害から尿閉を生じることもある。便秘やイレウスを生じることもある。横紋筋融解を生じた場合、赤褐色の尿が認められる。

他覚所見

血圧上昇、浮腫、体重増加、起立性低血圧、不整脈、心電図異常(T波平低化、U波出現、ST低下、低電位)

臨床所見

低カリウム血症、代謝性アルカローシスに加えて、血漿レニン活性(PRA)あるいはレニン濃度と、PAC の低値が特徴。
低カリウム血症にもかかわらず、尿中カリウム排泄量が 30mEq/日以上となる。
医薬品の副作用として生じた場合、血漿DOC(11-デオキシコルチコステロン)濃度は正常である。立位フロセミド負荷試験で PRA上昇が認められない。

原因薬剤

肝臓及びグリチルリチン製剤が主な原因。フッ素含有ステロイド外用薬。
GL 150 mg/日あるいはそれ以下の比較的少量の投与例や、少量の甘草抽出物を含有するに過ぎない抗潰瘍薬などで発症した例が多数を占めるようになった。
生薬としての甘草を 1 日投与量として1~2gしか含まない医療用漢方薬や、仁丹の習慣的使用による発症例も報告されている。
甘草湯、芍薬甘草湯、小青竜湯、人参湯、小柴胡湯、防風通聖散、六君子湯。

発生機序

グリチルリチンの代謝物であるグリチルレチン酸により、11β-HSD2(コルチゾールをミネラルコルチコイド受容体に結合しないコルチゾンに変換させることでコルチゾールに受容体が占領されるのを防ぐ働きがある。)の活性が抑えられ、結果過剰となったコルチゾールがミネラルコルチコイド受容体を介して、ミネラルコルチコイド作用を発揮することによって起きてくる。

発症までの期間

使用開始後 10 日以内の早期に発症したものから、数年以上の使用の後に発症したものまである。
使用期間と発症との間に一定の傾向は認められないが、3ヵ月以内に発症したものが約 40%を占める。

対応

手足のだるさ、しびれ、つっぱり感、こわばりがみられ、これらに加えて、力が抜ける感じ、こむら返り、筋肉痛が現れて、だんだんきつくなるような場合で、漢方薬、かぜ薬、胃腸薬、肝臓の病気の医薬品、市販の医薬品などを服用している場合は、受診をお奨めします。
偽アルドステロン症は、低カリウム血症を伴う高血圧症を示すことから、低カリウム血性ミオパチーによると思われる四肢の脱力と、血圧上昇に伴う頭重感などが主な症状となる。筋力低下の進行により歩行困難、さらには起立不能となり、入院となる例が多い。初期症状に気付きながらも受診せず、起立・歩行困難になるなど重症化させてしまう例が多い。
通常、原因薬剤の投与中止で、2~4週以内に諸症状は改善する。