毛細血管がなくなるゴースト血管の改善法

毛細血管がなくなるゴースト血管の改善法

加齢などとともに毛細血管がなくなっていくゴースト血管について、改善法も含めて紹介します。

ゴースト血管って何?

ゴースト血管とは、本来体の隅々にまで酸素や栄養分を送り、老廃物を回収するためにある毛細血管の先端に血液が行き渡らなくなってしまい、まるでゴースト(幽霊)のように毛細血管が消えてしまっているものを言います。
ゴースト血管になると、酸素や栄養が行き渡らず、老廃物が溜まりやすくなってしまいます。

こうなると、『健康』はもちろん、『美容』『老化』という面でも問題になってきてしまいます。

 

加齢など、何らかの原因で毛細血管構造が壊れてしまうと、輸送中の血液成分が漏れすぎてしまうようになり、末梢まで届かなくなってしまうのです。
このような状態が続いていると、毛細血管はボロボロになり、最終的には消えてしまいゴースト血管になってしまいます。

毛細血管スコープと血管年齢

毛細血管やゴースト血管の画像や血管年齢はどうやって測るのか。
毛細血管がどうなっているのか画像で見たいという場合は、医療機器ではありませんが、『毛細血管スコープ』というものがあります。

 

毛細血管の画像で、どのようなものを確認するのかというと、
*ねじれがないかどうか
*太さは適正か
*濁りがないか
の3点になります。

ゴースト血管となる大きな原因としては加齢があげられますが、最近では年齢に関係なく20代、30代といった若い人にもゴースト血管が見られます。
これには、睡眠不足、食生活の乱れといった生活習慣の乱れが大きく影響していると言われています。
さらには寒さなど気候的なものも影響を与えます。

 

毛細血管解析として、毛細血管の長さやねじれなどを調べることで、生活習慣の乱れや生活習慣病の疑いがないかをチェックすることにもなります。

 

実際の毛細血管スコープによる毛細血管とゴースト血管

 

毛細血管がどうなっているのかについては、『あっと株式会社』の『毛細血管スコープSC-10』という毛細血管スコープを用いた画像評価システムがあります。

毛細血管スコープ

参考:https://kekkan-bijin.jp/products/sc-10

 

医療機器ではありませんが、左手の薬指の爪の少し下のところ(甘皮の下あたり)に少量の専用オイルを塗り、スコープ下のU字型指置きに入れて調整することで、指に負荷をかけたり採血したりすることもなく非侵襲非観血的に、毛細血管を観察することができます。

 

こうして毛細血管スコープによって、採血せずに簡単に、毛細血管の血流を観察できます。

 

末梢血流循環の状態の指標として血管年齢を調べるものとして、拡散透過方光学センシングの原理を用いて、血流の他に血圧・体脂肪を測定して血管年齢などを出す『BCチェッカー』という医療機器などもあります。

 

参考:http://www.kameda-med.net/kmd-page/bcchecker/bcchecker.html

 

毛細血管スコープという機器を使ってみた指先の毛細血管

健康な毛細血管は、適度な太さと長さがあるのに対して、ゴースト血管は不規則にねじれたり消えたりしていて、周りに血漿成分が漏れ出ています。

健康な状態の血管
毛細血管スコープ

ゴースト血管
毛細血管スコープ

<写真参考:あっと株式会社写真より>

 

毛細血管の直径は、約100分の1mmで、髪の毛の10分の1ほどの細さになります。
赤血球が1列に並んでやっと通れる太さしかありません。

 

毛細血管は、全血管の95~99%を占めていて、全身に網の目のように張り巡らされています。そして、免疫の闘いの最前線にもなっているのです。
毛細血管は、約100億本もあり、それを全部つなぎあわせると、地球2周半分になると言われています。

 

毛細血管スコープ

毛細血管壁に点在している周皮細胞(壁細胞)は、毛細血管を健全に保ち、毛細血管に損傷ができた場合は活性化して、血管を再生・新生をサポートする働きがあります。

 

周皮細胞に覆われた健康な毛細血管は、45歳頃になるとぐんと少なくなっていき、周皮細胞が完全にはがれてしまった毛細血管は空洞化して、ゴースト血管になり、脱落していってしまいます。

毛細血管の内皮細胞は、若くて健康であれば1000日くらいで新しい細胞に入れ替わっていきますが、40代くらいからは、新陳代謝されることなく死んでいく細胞が徐々に増えていくため、60代になると毛細血管の数が4割も減るといわれています。

毛細血管スコープ

ゴースト血管ができる原因とそれがもたらす病変

ゴースト血管ができる大きな原因としては『加齢』が挙げられますが、その他にも、高血圧や高血糖、脂質異常が挙げられます。

 

これらの状態が続くと、血管の細胞が壊されたり、毛細血管の内壁に汚れがたまったりして、血管の弾力性が失われ、さらに悪化すると、血管内が狭くなって血管が詰まってしまい、血管はあるのに血液が流れていない『ゴースト血管』となってしまい、このようになった毛細血管はやがて脱落し、消滅していきます。

 

ゴースト血管ができると、毛細血管と連動してリンパの流れも悪くなり、余分な水分や老廃物がリンパ管の中で滞りやすくなり、そのことでむくみやすくなります。

 

さらには、ゴースト血管ができて血流が悪くなることにより、免疫細胞が行き渡らず、全身の免疫機能が低下してしまい、風邪を引きやすくなったり、花粉症などのアレルギー症状が出やすくなってしまい、さらにはウイルスや細菌、がん細胞に対する抵抗力が落ち、病気を招くこともあります。

 

ゴースト血管によって起こるリスクが高まるものとしては、薄毛、アルツハイマー病、老け顔、高血圧、冷え性、骨粗鬆症、がん、むくみ、感染症などいろいろとあるのです。

 

『健康面』だけでなく『美容面』でも『老化』ということで考えても、ゴースト血管ができ血流が悪くなると、まず最初には体の一番外側にある皮膚にその影響がダイレクトに反映されてきます。
皮膚への血流が悪くなり、栄養や酸素が十分に行き渡らなくなってくると、表皮細胞の新陳代謝が鈍くなり、古い角質が肌に張りついたままでハリがなくなり、たるみやくすみ、シミ、シワの原因にもなります。さらに頭皮では毛母細胞に栄養素が行き渡らないため、髪のパサつき、抜け毛、白髪などが起こり、肌や髪が老化していってしまいます。

 

ゴースト血管による影響は、皮膚だけでなく粘膜にも表れます。
目、鼻、口、喉、胃、腸、膀胱、子宮、腟、肛門など体のあらゆる部位の粘膜では毛細血管が発達していますが、これらの毛細血管が衰えれば、粘膜に十分な水分や栄養が行かなくなり、目の痛み、鼻炎、口内炎、胃腸炎、膀胱炎、痔など、その部位に炎症を引き起こしやすくなってしまいます。

毛細血管は増やすことができる

『血管新生』といって、毛細血管は必要であれば、枝分かれして増えていきます。

 

加齢とともにゴースト血管が増えていってしまいますが、健康な毛細血管は増やせるのです。

 

毛細血管がダメージを受けて血流が悪くなると、その毛細血管が関係する組織の細胞が酸欠や炎症を起こします。するとそこに酸素や修復するための細胞を届けるために、その場所に向かって新しい毛細血管が伸びていきます。

 

毛細血管に着目し、研究や臨床を重ねてきた内容が紹介されている本
『ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業 「毛細血管」は増やすが勝ち! 』

 

毛細血管を増やすのに最も有効な方法は、筋トレ+有酸素運動を繰り返すサーキットトレーニングになります。
筋肉を鍛えてから有酸素運動をすることで、眠っていた毛細血管が酸素や栄養などを筋肉細胞に運ぶために目覚めるのです。
運動を継続すれば、新しい毛細血管が生み出されていきます。

今からできる賢い毛細血管再生術

ゴースト血管をよみがえさせるためには、次のことが大切です。

 

①血流を促す
②血管を緩める
③血管が緩んだ状態をキープ

 

血流を促すには運動、血流を緩めるには入浴、血管が緩んだ状態をキープするには睡眠が大切になってきます。

 

血流を促す運動法

かかと上げ下げ運動

 

①椅子につかまり(つかまらなくても可)、足をそろえて立つ
②両足のかかとをゆっくり上げ、つま先立ちの状態で5秒間キープ
③ゆっくりかかとをおろして5秒間キープ

 

これを20回繰り返します(1日1セット)

 

この運動は、ふくらはぎの筋肉、すなわち腓腹筋やヒラメ筋を鍛えることで、足の筋ポンプ作用によって、血流を促していくものです。

その場ランジ

 

①片手で椅子につかまり(または腰に手を当てて)、足を前後に開く
②後ろの足が膝が床につくまで腰をゆっくり落とす(前の足の膝があまり前に出すぎないように)
③ゆっくりと腰を上げ、元の体勢に戻る

 

これを左右各10回ずつ繰り返します(1日1セット)

 

この運動は、普段あまり使わない太ももの裏の筋肉、すなわちハムストリングを使うことで、血流を促していくものです。

 

運動法も含めたまとめ動画

 

血管を緩める入浴法

40℃のお湯に10~15分つかるのがオススメです。
少しぬるめのお湯でゆったりとリラックスすることが大切です。

 

リラックスするためには、自律神経を副交感神経優位にすることが重要ですが、自律神経に支配されている機能の中で、唯一自分でコントロールできるのは呼吸です。
4秒かけて鼻から息を吸い、4秒息を止め、8秒かけて口から息を吐く腹式呼吸である「4・4・8呼吸法」を意識して繰り返すことで、副交感神経をスムーズに優位にし、リラックス効果が高まりやすくなるのでオススメです。

 

また血流改善ということで炭酸入浴剤を入れると、刺激となり良いでしょう。

 

さらに血管マッサージを行うと効果的です。

血管マッサージ

①二の腕から手首にかけて骨から皮膚をずらすイメージで上下左右にほぐします。
②ひじの外側と内側をよくもみほぐします。

 

これで全身の血液循環を良くなっていきます。

マインドフルネス

入浴とは別に、最近アメリカで注目されているマインドフルネスは、瞑想などを通じて今この瞬間の現実に意識を向け、雑念にとらわれず、あるがままに受け入れる心の持ち方です。ストレスが軽減し、脳の休息になります。

ゴースト血管を改善するためにオススメの食材

食材としてオススメなのは、優れた抗酸化作用をもつ『ファイトケミカル』で、代表的なものには次のようなものがあります。
トマト(リコピン)
にんじん(β-カロテン)
鮭(アスタキサンチン)
ブドウやリンゴの皮(レスベラトロール)

 

また血糖値が過剰に上昇すると血管の内皮細胞がダメージを受けます。
血糖値が過剰に上昇すると、それを下げるためにインスリンが大量に分泌されますが、それが続くとインスリンの効きが悪くなり、ついには枯渇して糖尿病の原因になってしまいます。

 

なので毛細血管の健康を保つために、血糖値を急激に上げない食事が需要になってきます。
血糖値を上げにくい低GI値のものには、葉野菜、きのこ、果物、肉、魚、海藻、大豆製品、チーズ、ナッツ類などがあります。

 

さらに血糖ということで言うと、早食いも血糖値を急上昇させる原因になりますので、「ひと口30回噛む」を心がけると良いでしょう。