脳トレは効果があるのか、ないのか

脳トレは効果があるのか、ないのか

ネットでも勉強ができるようになるとか、成績が上がるといったことで、いろいろな脳トレゲームが紹介されています。果たして脳トレゲームで成績はあがるのでしょうか。

脳トレで頭が良くなるって本当?

脳トレが頭を良くするかについては、肯定的な論文と、否定的な論文があり、賛否両論となっています。

 

先に結論をいうと、脳トレをすることで頭が良くなるかについては、専門家の間でも賛否両論に分かれ、しっかりとした統一見解はまだでていないというのが現状でしょう。

 

ひと口に脳トレと言っても、ネット上で脳トレゲームとか称しているものをみると、いろいろなパターンのものがあり、そもそも何をもって、どんなゲームをもってそれが脳トレゲームなんだというところから難しい問題と言えます。

プレセボ効果をはじめ、効果がないとする研究

ネットをみても、脳トレゲームと称して、さまざまなゲームがありますが、スイスのジュネーブ大学バヴェリア教授らの研究日経サイエンスの2016年10月号に掲載されていて、そこでは『大々的に脳トレをうたっているゲームのうち、実際に効果があるものは、あったとしてもわずか。』としています。

 

つまり、脳トレゲームというゲームが上手くなるだけで、実際に脳が活性化して頭が良くなるという汎用性のある効果はないのではないかとしています。
脳トレゲームが上手くなっても、スポーツが上手くなったり、勉強ができるようになり成績があがったり、いろいろなことを効率的にできるようになるかというと、それは別問題ということです。

 

一方、脳トレゲームをやったあとに学習すると、なんか少しだけ頭の回転が良くなった気がするという経験を持っている人もいると思います。

 

世界的科学雑誌であるScienceの2016年6月号には、「Brain training success may come down to placebo effect」という論文が発表されていますが、ここでは面白い実験が行われています。

 

参加者に、「脳のトレーニングと認知力の強化」ということを知らされて脳トレゲームをしたグループと、それを知らされずに脳トレゲームをしたグループを比較した結果、脳のトレーニングと認知力強化であることを知らされたグループのみ、IQが5~10上昇したというのです。
つまり、これは本人の思い込み(プレセボ効果)によって、成績が良くなったということになります。

 

脳トレゲームを行ったあと学習すると、なんとなく頭の回転が良くなったと感じるのも、プラセボ効果によるものかもしれません。
たしかに、一時的に脳が活性化するかもしれませんが、それで脳が鍛えられて変化し成長するかと言われると、効果があるというようなことはなかなか言えないのでしょう。

脳トレは効果があるとする研究

一方で、脳トレに効果があるとする研究報告もあります。
Scienceの2009年2月号では、「Changes in Cortical Dopamine D1 Receptor Binding Associated with Cognitive Training」というスウェーデンのクリングバーグらの研究が掲載されています。
それによると、乱数表で出した7ケタの数字を即時に覚え、30秒後に暗唱してもらうという試験を行った結果、次第にその能力が向上していくことがわかっています。

 

7ケタの数字を覚えるというのは、記憶でいうと、ワーキングメモリ、つまり即時記憶であり、その即時記憶能力が向上するというもので、このトレーニングによって大脳皮質のドーパミン受容体の量が変動するということもわかっています。

 

クリングバーグ博士が推奨する即時記憶を鍛える脳トレとは

 

クリングバーグ博士が推奨する即時記憶を鍛える脳トレ

 

7ケタの数字を即時に覚え、30秒後に暗唱するというものです。
ちなみに、クリングバーグ博士によると、1日35分、週5回、5週間継続のトレーニングで効果があったそうです。