能ある鷹の能と爪

能ある鷹の能と爪

勉強法や記憶術について、いろいろな情報を紹介していきます。

爪を隠す能ある鷹

『爪』といって真っ先に思い出す故事成語・ことわざといえば、『能ある鷹は爪を隠す』ではないでしょうか。
意味としては、優れた能力を持っているものは、それを他人にひけらかしたりするようなことはしないということになるのでしょう。
鷹が狩りをするときに爪をむき出しにしていたのでは、獲物は逆にみすかしてしまうからです。

 

昔から、いろいろと故事成語やことわざというのは面白いものがいっぱいあります。
この『能ある鷹は爪を隠す』も、同意のものとしては、「深い川は静かに流れる」、「鼠捕る猫は爪隠す」、「能ある猫は爪隠す」、「鳴かない猫は鼠捕る」、「口達者の仕事下手」、「能無しの口叩き」、「最も口達者な者が最も仕事をしない」、「空樽は音が高い」、「能なし犬の高吠え」、「吠える犬は噛みつかぬ」、「鳴く猫鼠捕らず」といったいろいろなものがあります。この数だけでも驚きですね。
『能ある鷹は爪を隠す』も、「上手の鷹は爪隠す」や「猟する鷹は爪隠す」といった言い方になっているところもあるみたいです。

能ある鷹の『能』

さて、能ある鷹の『能』ですが、考え方によっては能力があるなら出せよとも言えます。
一度きりしかない人生です。一生爪を隠したまま終わってしまうかもしれません。
念のため広辞苑を引くと、『本当に実力のあるものは、やたらにそれを現さないものだというたとえ』と書いてあります。

 

才能や実力のある者は、軽々しくそれを見せつけるようなことはしないというたとえであり、本当に大事な時にしか出さないということになるので、ある面、格好いいと言えますが、果たしてそれでいいのだろうか。

 

フランスの貴族でありモラリスト文学者であるラ・ロシュフコーは、『自分の手腕を隠せるのは、立派な手腕である』と言っています。
日本のノンフィクション作家である司馬遼太郎さんは、『鋭さを面にあらわして歩いているような男は才物であっても第二流だ。第一流の人物というのは、少々、馬鹿にみえている』と言っています。

 

他にもロシアの作家トルストイは、 『謙虚な人は誰からも好かれる。』としているし、
ゲーテは、『能あるものは、そっと黙っていよ。そっとしておいてもおのずから現れて来る』としています。
さらには、我が日本国の世阿弥さんは、『秘すれば花なり。秘せずば花なるべからず』と言っています。
それじゃ、能ある鷹は、どうして爪を隠すのだろう。
とかく生きにくい世の中です。

爪を隠す能ある鷹の本音

それは、そのほうがカッコいいから?、まわりの人とうまくやっていくため?
良く言われるとおり、出る杭は打たれるということにならないため?
さらには、ライバル等を油断させるため?
もっとすごいのには、人に利用されないため?という疑心暗鬼なものもあります。
能力をひけらかす必要などないから?っていうのは、うん確かにそうだなっと思えるのだが、人間としての成長を目指すため(謙譲の美徳)? というのはなんか悟りきってるなという感じがします。

 

爪を隠しているのではなく、見せる爪がないからではないかという人もいます。
とにかく何をやるにしても、実力云々の前に人間関係ということもあります。

 

昔から、円滑に人間関係を回すという意味でのヒトの知恵だったのかもしれません。