学習で大切な復習のタイミングはどうすればいいのか

学習で大切な復習のタイミングはどうすればいいのか

効率的な学習法・勉強法・記憶法を考えた場合に、いつどういったタイミングで、どのように復習をすれば良いのかということは非常に大きな問題になってきますが、そのことについて解説します。

集中学習と分散学習

学習方法は、集中学習と分散学習の2つに分けることができます。

 

集中学習は、時間を置かずに学習する学習法で短い時間に情報を一気に記憶するのに対し、分散学習法は、時間を置いて学習する学習法で意図的に時間間隔を設けて覚えることと忘れることを何度か繰り返すことで情報を記憶していきます。

 

通常は、復習に関しては分散学習法が良いとされています。
集中学習法と分散学習法をうまく使い分けることが、科学的で効率的な学習法・勉強法・記憶法と言えます。

 

集中学習法で勉強すべきケース

記憶ではなく理解を主とする場合

記憶をするのではなく、理解をすることを重視する場合は、集中学習法つまり一気に何度も繰り返して読み理解を深めるのです。
なぜならば、しっかり理解していないものはただ暗記しても身にならないからです。

 

初めて記憶する場合

初めて記憶する場合、もしくは過去に記憶していることでもほとんど忘れてしまっていて覚える対象になじみもない場合は、まずは覚える対象に対してなじむ必要があります。
記憶してファミリア(famililar)の状態にあるものは、まだ集中学習法で覚えるべきです、
ファミリアとは、「どこかで覚えたことがあるぞ」といった親近感(familiar)はあるものの、漠然とした記憶で、選択肢を与えられれば正しく選ぶことができるリコグニション(recognition)の状態に達していないものということになります。

勉強

一度学習しても、ファミリアの状態になってしまっていれば、今までの学習がほぼ無効と言えるので、こうした状態になる前に復習することが大切です。

 

 

分散学習法で勉強すべきケース

きちんと理解された上で記憶する場合

きちんと内容が理解されれば、その上で記憶する作用に移ることになります。
復習一般については、分散学習つまりある程度覚えたら、何度も何度も繰り返すのではなく、一定期間を開けて学習したほうが効率的に勉強できるということになります。

効率のよい集中学習の方法

まずは、初回しっかりと覚えるべきことを覚えるためにはコツがあります。
天才でもなければ、一度見聞きしたものをそのまま覚えるということはできません。すぐに何度も繰り返すことで記憶に定着させていきます。

 

初めて学習する内容であれば、当然なじみがありません。新しい英単語などを覚えようと思った時、最初は発音すらわからないという状態です。
まずは言葉や覚える内容になじむ必要があります。

 

集中学習でしっかり覚える

そこで、覚える内容を4~8回音読して口を慣らすと良いでしょう。
慣れてきたら、今度は、覚える内容を目でみて確認していきます。

 

  1. まずは4~8回音読
  2. 1語1秒ペースの速いペースで目で確認をしていくことを6~8回行う
  3. 2のことを1日朝・昼・晩と繰り返す。
  4. 翌日と翌々日は、小テスト形式で1語1秒ペースで、やはり朝・昼・晩、6~8回ずつ繰り返します。
  5. どうしても覚えにくいものを集中的に覚える

 

この方法だと、まず1の段階で4~8回音読していますが、これだけすれば、慣れてきてなじんできます。
もし、まだなじんでいないと感じたのであれば、ここの回数はもう少し増やします。

 

次に音読が終わってからは目で確認します。最初は6~8回繰り返し、これを1日3回繰り返します。
すると(6~8回)×3=18~24回となり、だいたい音読をしたあと、20回は目を通して確認する計算になります。

 

次の日と翌々日も、同様に6~8回繰り返し、これを1日3回繰り返します。
ただし、小テスト形式で確認していくとより記憶に定着しやすくなります。
1語1秒ペースで確認していくのですが、最初から答えを見てしまうのではなく、一瞬答えを思い出すようにします。

 

もし瞬時に思い出せれば、それはかなり頭に記憶されているという証拠ですし、多い出せなければすぐ答えを確認します。
このとき、う~んと唸って思い出そうと時間をかけることをしてはいけません。
瞬時に浮かばなければダメと割り切らないと時間の無駄になってしまいます。

 

もし瞬時に思い出せなければ、すぐに答えをみて、「ああ、こんなんだ」、「ああ、そうだった」と確認をしてどんどんとハイペースで進んでいくことが大切です。

 

すると3日間で約20回×3日=60回となり、だいたい音読したあと、60回は確認していることになります。
100の事項を覚えるとしても、1語1秒のペースで行うので、100の事項にかかる時間は100秒、少し余裕をみて2分かかります。
1日20回繰り返しても、2分×20回で40分の学習となります。
つまり1日40分を3日繰り返せば、かなり記憶されているはずです。
これで、初期の集中学習ができました。

 

最後にどうしても覚えられない事項というものも出てきてしまいますが、そうしたものだけ抽出し、集中的に覚えるようにします。

分散学習で効率的に復習、7~10日の周期で5回正解

集中学習である程度頭に入ったならば、今度はそれを忘れないように復習をしていくことが大切です。
よく勉強して覚えたことを復習するときは、エビングハウスの忘却曲線のように、復習を20分後、半日後、1日後、3日後、1週間後、1ヵ月後とだんだん間隔を開けていくと良いと言われていますが、科学的な効率の良い復習法は少し違います。

 

エビングハウスの忘却曲線は、ランダムなアルファベット3文字を覚え、それを再び学習するのにどれだけ時間が節約できたかといったものを表したもので、これを忘却率としています。
しっかりと覚えた後の復習としては、だんだんと感覚を開けていくよりも、一定周期で復習することがベストであるということが心理学者のカプリッケの研究などでわかっています。

 

それではどのぐらいの感覚で復習したらよいかというと、復習は小テスト形式で行い、7~10日の周期で復習をするのがベストと言われています。
この時も1語1秒ペースで、念のため6~8回繰り返しておくと記憶の定着が早まります。

 

そして、復習していると瞬時に答えがわかる、つまり覚えてしまっている事項の数が増えてきます。
復習の回数を重ね、5回復習のとき瞬時に思い出せた事項は、もう復習しなくても記憶に定着したと判断でき、それ以降復習してもあまり定着率は変わらないので、復習する対象からどんどんはずしていけば良いのです。そうしてどんどんと新しい事柄を覚えていきます。
はずしたものは、念のため半年~1年後、あるいはテストの前に1度目を通して確認しておけばよいでしょう。
かなり定着しているはずですが、それでも忘れていたものは覚え直せばよく、万一忘れていたとしてもすぐに記憶できるはずです。

20分後、半日後、1日後、3日後、1週間後、1ヵ月後とだんだん間隔を開けていくと良いというのは間違いなのかということですが、これは初期の集中学習でしっかりと覚えているかということもありますし、覚える内容や個人差もでてくる問題でしょう。

 

集中学習で最初の3日間集中して60回も繰り返した場合を考えると、エビングハウスの学習法での復習タイミングの20分後、半日後、1日後、3日後の分は集中学習法で復習していることになります。つまり1週間後が集中学習後の最初の復習となりますが、しっかりと集中学習ができていて、この時点で80%以上の事項が瞬時にでてくるレベルになっていれば、記憶にすでに定着してしまっているとも考えられるので、次の復習が1ヵ月後でもかなり記憶に定着しているということになるでしょう。

試験日から逆算した分散学習最初の復習日は1:5の法則

学習したことを復習するタイミングとして、科学的で効率的な勉強法として1:5の法則というものが言われています。
これはどういうことかというと、

 

「最初の学習から最初の復習までの日数・時間」:「最初の復習からテストまでの日数・時間」 = 1:5

 

これがベストということです。

記憶法1:5の法則

 

記憶法反復1

記憶法反復2

 

Spacing effects in learning : A temporal ridgeline of optimal retention. Psychological Science, 19(11),1095-1102

 

保持されていた情報を、口頭や筆記、あるいは行為によって生成する課題である再生(recall)と提示された情報が記憶として保持されているものかどうかを参照する課題である再認(recognition)において調べた結果、最初の学習から最初の復習までの日数・時間と、最初の復習からテストまでの日数・時間の比は1:5が望ましいという結果になっています。

 

当然、再生はそのままあるいはヒントで思い出して再生できたということで、再認は学習して覚えたことがあるかどうかの認識なので、正解率は、recall よりも recognition で高くなっています。

 

例えば、35日後にテストがあるのであれば、1:5なので、学習してから5~6日目に最初の復習をするということになります。
ちなみにグラフのデータは1回しか復習しなかった場合のデータになっています。

 

そしてそれ以降の復習は、7~10日間隔で行い、5回瞬時に思い出せた事項は、あとは試験直前に見直せばOKというものです。

 

一方、テストまでの間に1年あるといった具合に、まだテストまで時間がある場合は、学習してから最初の復習までは1カ月ぐらいが良いでしょう。
1年の場合、1:5の法則をあてはめると最初に復習するのは2ヵ月後となりますが、グラフからもわかるように、最初の復習はやはり1カ月後ぐらいにしておいたほうが良いでしょう。