
ツボというと、東洋医学ででてくるもので、鍼や灸を行うポイントといったイメージがあるかと思います。
鍼や灸は、漢方薬のように身体の中から効いていくのではなく、身体の外側から刺激を加えて、不調となっている部位に働きかけていく治療法です。そして、指圧なども、鍼や灸と同じくツボを中心に押していくことで、健康な身体を維持するのに役立ちます。
記憶力に関する話の前に、一般的なツボの話を簡単に少しだけ。
東洋医学だと、人の身体の中には経絡と呼ばれるものがあります。漢方でいうとこれは気と血がめぐる通路ということになり、皮膚や筋肉、臓腑など全身にはりめぐらされています。
さしづめ西洋医学でいうと、神経・血管・リンパの流れといったところでしょうか。おもな経絡だけで14本となり、1本1本頭部から手足の崎間でつながっているので、経絡はひとつのつながりと考えることができます。
経絡は地下鉄と同じように、表皮に近い浅い部分から身体の奥深いところまで通っていて、身体の表皮近くを通る経路にはツボ(経穴:けいけつ)が存在しています。ここは気や血の流れが滞りやすいポイントで、ここを刺激することで、気や血が流れやすくなります。
刺激したツボから離れた場所でも、経絡を通じて刺激が伝わって、治療につながります。
●記憶力に良いとされるツボ1 郄門(げきもん)
東洋医学でいうと、郄門は心熱を冷まし、痛みを鎮め、血熱を冷まし、出血を止めるとあります。
場所は、腕内側の手首と肘の中間にあります。
ちょうど手の平を顔に向けて、手の平を見つめるようにします。そのとき手首と肘に内側の中間点が郄門の位置になります。
上手な押し方は、親指をツボにあててゆっくりと息を吐きながら押します。
このツボを刺激することで手・腕のコリが緩和され、ストレスによるコリに効果があります。
電車に乗り遅れそうな時に急に階段を一気に駆け上がったりすると息切れがして、心臓はバクバクと心拍も早くなりなかなかおさまらないといった人にも良いツボです。心と神経の衰えに良いツボで認知症にも良いとされています。
●記憶力に良いとされるツボ2 神門(しんもん)
不眠・健忘・認知症などに効果があるツボです。
ツボの場所は、手の平を見つめるようにして、手首の横ジワの小指側。少しくぼんだところです。
刺激の仕方は、親指を神門のツボにあて、残りの指で手首をつかみ、イタ気持ちいい程度の強さで30回程度押します。左右両方の腕について刺激します。
このツボを押すことにより、精神的な緊張がほぐれ、イライラした気分を鎮め、いろいろな物を記憶しやすい環境にしてくれます。
特に不安感が強い場合は、このツボを刺激すると効果があると言われています。