化粧品の成分表示を見てみると、その表示順は重量の多い順からの記載になっています。
したがって、化粧品の成分表示を見てみると、その多くが成分表示の一番最初に、水やアルコール、グリセリンといった溶剤に該当する成分が書かれています。
化粧品に使われている精製水
化粧品の溶剤として、よく精製水が用いられますが、精製水は化粧品の成分を溶解するのに大切な働きをするとともに、一時的に肌をしっとりとさせて、やわらかくします。
ただ、化粧品のパッケージやラベルに書かれている全成分表示では、精製水は「水」と表示されています。
溶剤として化粧品に水を使うとき、水道水や地下水・井戸水をそのまま使用しません。
なぜならば、化粧品にはいろいろな成分が点合され、その溶解度や経時変化・安定性、沈殿や脱色などの変化、皮膚に対する作用や安全性を考慮して、厳しい規制があります。
水道水だって、そのまま飲めるわけだし、飲んで大丈夫なものを肌に塗ったっていいじゃないかと思われるかもしれませんが、水道水にはカルシウムやマグネシウムなどの金属イオンが含まれています。
こうした金属イオンや塩素イオンが微量に含まれていただけで、それが他の成分と反応して、不溶物となって懸濁したり沈殿したり、時間の経過とともに色が褪せてきてしまったりします。
そこで、化粧品の製造には精製水が用いられるのですが、『精製水』は、水道水(常水)をイオン交換樹脂に通して吸着精製したり、蒸留を行うことで精製された水で、不純物や雑菌はもちろん、金属イオンや塩素、有機物なども除去したりします。
もちろん、化粧品としっても、海洋深層水や富士山の湧き水を使っている製品もありますが、一般的には、精製水が用いられるのです。
化粧品に使われているエタノール
化粧品に使われるエタノールは、溶剤としての目的があります。
エタノールには、化粧品のいろいろな成分、香料や色素などを溶かす働きがあり、また肌に残った皮脂や汚れを浮かして落とす清浄作用もあります。
さらに、エタノールは蒸発するときに気化熱により皮膚温を下げて肌を引きしめる収れん作用、菌の増殖を抑える静菌作用、肌に冷涼感を与える清涼作用などもあります。
エタノールが化粧品で使われる場合、通常はあまり濃度が高いと肌への刺激が強くなりすぎてしまうので、だいたいは5~10%の含有量として使われることが多くなっています。
中には、アルコールに敏感な肌の人もいるので、注意が必要です。
変性アルコールって?
化粧品や医薬品の添加物には、エタノールは変性アルコールが使われます。
『変性アルコール』とは、エタノールに0.5~5%程度の変性剤を加えたものです。
アルコールに加える変性剤としては、ゲラニオールやフェネチルアルコール、酢酸リナリルなどが使われます。
なぜ、わざわざエタノールに不純物ともいえる変性剤を入れるのかというと、化粧品等に使われる工業用アルコールは、そのままだと飲用に転用できてしまうためです。
したがって、許可を得ない場合は酒税相当の加算額が課せらてしまい、こうなると原料価格が高騰し、化粧品の価格も跳ね上がってしまいます。
そこで、原料価格を抑えるために、変性アルコールが使われているのです。