化粧品の容器は、いろいろな種類があります。
細口瓶、広口瓶、円筒容器、チューブ、パウダー容器、コンパクト容器、ペンシル容器、スティック容器、塗布容器など、思いつくままあげてもどんどんと出てくるほど多種多様になっています。
それぞれの容器の特徴や目的に合わせて、いろいろな素材が使われています。
プラスチック
化粧品の容器の中でも多いのがプラスチックになります。
プラスチックは透明・不透明といろいろ加工性がよく、着色もOKで外観も自由自在にできます。
プラスチック容器は、大きく分けると、熱硬化性樹脂と熱可逆性樹脂に分けることができます。
LDPE(低密度ポリエチレン:Low density polyethylene)は、半透明で光沢があり、柔らかいという特徴から、スクイズ性の必要なチューブやボトル、中栓、パッキングなどに使われます。
ただ、内部や外部の応力がかかっている状態で、界面活性剤やアルコールなどと接触すると亀裂を生じたりすることが欠点になります。
HDPE(高密度ポリエチレン:High density polyethylene)は、やや光沢が劣る乳白色で、水分の透過が少ないため、化粧水や乳液、シャンプーやリンスのチューブやボトルとして使用されています。
PP(ポリプロピレン:Polypropylene)は、半透明で光沢があり、耐薬品性もよく、常温では耐衝撃性もあるので、クリームなどの広口瓶を始め、キャップなどに幅広く用いられています。繰り返し折り曲げることにも強く、ヒンジ(蝶番)としてワンタッチキャップに好んで使われます。
PS(ポリスチレン:Polystyrene)は、光沢があり透明で硬く、加工性が極めて高いため、スティック容器やコンパクトなどの容器に用いられますが、耐薬品性や耐衝撃性が良くないといった欠点があります。
AS樹脂(Polyacrylonitrile styrene)は、光沢があり、透明で耐衝撃性がよく、耐油性もあることから、クリームの容器によく使われるほか、コンパクトやスティック類、キャップなどにも用いられます。
ABS樹脂(Polyacrylonitrile butadiene styrene)は、AS樹脂の耐衝撃性をさらに向上させたような樹脂で、コンパクトなどに用いられますが、香料やアルコールに弱いという欠点もあります。
PVC(ポリ塩化ビニル:Polyvinyl chloride)は、透明で整形加工性が良く安価なため、シャンプーやリンスのボトルなどに幅広く用いられています。ただ、燃やした時に有害な塩化物を発生するという問題があります。
PET(ポリエチレンテレフタレート:Polyethylene terephthalate)は、ガラスに近い透明性と光沢があり、硬く、耐薬品性もあることから、化粧水や乳液、シャンプーやリンスのボトルに用いられています。

ガラス
ガラスには、ソーダ石灰ガラス、カリ鉛ガラス、乳白ガラスなどがあります。
ソーダ石灰ガラスは、通常使われる透明ガラス瓶に使われていて、酸化ケイ素、参加カルシウム、酸化ナトリウムが主な成分になっています。
金属コロイドや金属酸化物で着色されたりして、化粧水や乳液の瓶に使われることが多くなっています。
カリ鉛ガラスは、酸化ケイ素、酸化鉛、酸化カリウムを主な成分として、高級な香水などの瓶に用いられます。
乳白ガラスは、無色透明なガラスの中に無色の微細な結晶が分散して光を散乱させ乳白色に見えるものになっています。
金属
金属としては、エアゾール缶、口紅、コンパクト、マスカラ、ペンシル容器などにアルミニウムが良く使われます。
アルミニウムは軽くて加工性が良いため幅広く使われています。
銅と亜鉛の合金である真鍮は、金に近い外観と高比重を持つために、コンパクトや口紅の容器に用いられた李します。
その他、エアゾール缶の一部に鉄が用いられた李、クロム・ニッケルの合金として錆びにくいステンレスが使われたりします。