皮膚のpHとアルカリ中和能 | 美容トピックス

皮膚のpHとは、皮膚表面を薄く覆っている皮脂腺のpHになっていて、皮膚そのもののpHではありません。
皮脂膜の皮脂には、汗に含まれている乳酸やアミノ酸、皮脂の中にある遊離脂肪酸などが含まれていています。
そのためpHは弱酸性をしめします。

健康な皮脂膜のpHは、pH4.5~6.0になっています。この範囲であれば、正常であると判断されています。

個人差が大きい皮膚のpH

皮膚のpHは個人差が大きいと言われていて、皮膚のpHには肌質も大きく関係しているといわれています。
皮膚分泌が盛んな脂性肌は、皮膚のpHも酸性側に傾きやすい傾向があります。
そのとは逆に乾燥肌の場合は、皮膚のpHはアルカリ性側に傾きやすい傾向があります。

男女でいうと、一般的に皮脂分泌が盛んな男性のほうが、女性よりも肌が酸性に傾いている傾向があります。
年齢でいうと、年齢を重ねることによって、肌が乾燥しやすくなり皮膚pHもアルカリ性に傾いていきます。

湿疹や皮膚炎を起こしている肌も、その病巣部分はアルカリ性に傾いています。

皮膚そのもののpH

皮膚そのもののpHはどうなっているのかというと、皮膚の内部から表層にいくにしたがって、酸性度が高まっていきます。
同じ表皮でも、有棘層はリンパ液が豊富にあり、pH7.3~7.5と弱アルカリ性になっていますが、皮膚表面に近いか顆粒層や角質層では、pH5.5~6.2と弱酸性になっています。

皮膚表面の中和力

皮膚表面には、石鹸などのアルカリ性物質が触れても、短時間のうちにこのアルカリ性を中和して本来の弱酸性に戻す力が備わっています。
このため、アルカリ性の石鹸やアルカリ性のクリームで洗顔しても、かぶれたり、皮膚障害を起こしたりすることはほとんどありません。

このように、皮膚の表面のpHを一定に保とうとする力はアルカリ中和能と呼ばれています。いわば皮膚の復元力とも言えるのかもしれません。

人間の皮膚のアルカリ中和能のすごさ

人間の皮膚のアルカリ中和能がどれだけすごいのかというと、pH11を示す強アルカリ希釈した苛性カリ溶液を皮膚表面に付着させた場合、健常な皮膚の持ち主であれば、約15分でもとのpHに戻ることが観察されています。

しかし加齢とともに皮脂の分泌量が減ってくると、アルカリ中和能も衰えてきてしまいます。
すると肌は刺激に対して弱くなってしまいます。

アルカリ性に弱い皮膚

健常な場合、弱酸性となっている皮膚は、アルカリ性には比較的弱くなっています。
そのため、健常な皮膚には、アルカリ中和能が備わっています。

石鹸などすぐに洗い流すものであれば、肌に接触していてもアルカリ中和能により、すぐに本来の弱酸性に戻っていきますが、長時間肌がアルカリ性の物質に触れていると、角質層はしだいに溶けていき、皮膚表面は肌荒れ状態になってしまいます。

こうなると肌バリアが壊れ、通常ならなんでもないちょっとした刺激でも、かぶれが起こったり湿疹になったりするようになります。

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