出産すると母乳がでてくるのはなぜ? | 健康トピックス

妊娠をすると、乳房が張ってきてしだいに哺乳の準備が進められていきますが、それで乳汁が出てくるということはありません。

しかし、赤ちゃんが生まれるとと、母乳が出てくるようになります。非常によくできたしくみですが、これはどうしてなのでしょうか。

大活躍のプロラクチン

妊娠すると、プロラクチン(PRL)というホルモンが分泌されるようになります。

このプロラクチンが、女性ホルモンのエストロゲン、プロゲステロンとともに、乳腺発育に関与させるように作用します。

乳腺の発育とともに、乳汁の分泌促進作用もあるので、乳汁が産生されます。

したがって、妊娠をすると、これらのホルモンにより乳腺が発育し、乳房が張ってくるようになるのです。

しかし、それであれば妊娠するとともに、乳汁が出てきてしまいますが、実際は乳房は張るものの乳汁は出てきません。

これは、エストロゲンとプロゲステロンも妊娠時に分泌されているからで、この2つのホルモンは、乳腺発育に関しては、プロラクチンと同様に促進するように働きますが、乳汁分泌に関しては、プロラクチンの乳汁分泌作用とは反対に、これを抑える方向で働きます。
したがって、乳腺は発達するものの、乳汁は出てこないしくみになっています。

赤ちゃんが生まれるとともに出てくる乳汁

ところが、分娩がはじまると、プロラクチンの分泌はされるものの、胎盤が娩出されてエストロゲンとプロゲステロンの血中濃度が一気に低下してきます。

そしてプロラクチンの受容体が発現してきて、より乳汁分泌の方向への働きが高まります。

すると、今まで乳汁が分泌されるのを抑えていたエストロゲンとプロゲステロンの分泌が抑制されることから、プロラクチンの乳汁分泌促進作用が優位になり、乳汁が出てくるようになるのです。

実際に授乳となると、赤ちゃんの吸啜刺激によって、プロラクチンの分泌がさらに高まり、さらにオキシトシンの分泌も高まりますが、これらのホルモンが乳汁の分泌を促進するように働くため、赤ちゃんがおっぱいを吸うと、母乳がでてくるしくみになっています。

プロラクチンの分泌は、分娩後3~4カ月でもとのレベルに戻っていきます。

新生児と乳汁

新生児が生まれても、2~3日は母乳が出てこなかったりしますが、しだいに出てくるようになり、母乳の量も増えてくるので心配ありません。

新生児は、母乳が出始めるまでの2~3日の間は、母乳の量が少なくても大丈夫なように、水分もカロリーも蓄えて産まれてきているのです。

ちょっと出が悪いからと、すぐ容易に粉ミルクを与えるのは、赤ちゃんのおっぱいを吸う力が育たなくなったり、吸う努力をしなくなってしまうことにつながる可能性もありますので、できるだけ母乳を与えるようにすることが大切です。

最新情報をチェックしよう!