加齢により免疫システムが変化する | 健康トピックス

人間の身体には、新旧2つの免疫システムが備わっています。

これは、人間が進化する過程においてできあがってきたものです。

古い免疫システムは、胸腺外分化T細胞、NK細胞、初期のB細胞など

古い免疫システムは、人間よりもはるか昔、生物が単細胞生物から多細胞生物に変化していくことに作られたもので、体を守るスタートラインのようなシステムです。

生物は、呼吸により空気をえらから取り入れたり、食べ物を腸管から取り入れたりし、また皮膚は外界の異物と接したりすることで、外界のものと体の細胞が直接接触します。

そこにマクロファージが集まってきてい、進化してリンパ球になっていきます。

こうやってできてきたのが、胸腺外分化T細胞、NK細胞、初期のB細胞といった免疫細胞です。

これらの免疫細胞は、皮膚・腸管・肝臓・外分泌腺・子宮などで、体内を監視しています。

新しい免疫システムは、T細胞や進化したB細胞など

やがて、生物は水中生活から陸上生活へと進化をとげていくわけですが、そうなると呼吸がえら呼吸から肺呼吸へと変わっていきます。

さらに循環器系も発達し血管ができます。

水中に比べて陸上では、花粉やほこりなど抗原となるものが非常に多く、これらの抗原が体の中へ入りこむ機会も増えてきます。

そこで生物は変化を迫らせ、えらが対価してその一部が残って胸腺が進化し、そこでT細胞や進化したB細胞などの免疫細胞が作られるようになっていきます。

これらの免疫細胞は、胸腺、リンパ節、脾臓などで外部からの侵入者に対して、体を守るシステムになっています。

若者の免疫システム

若いときは、T細胞や進化したB細胞などの新しい免疫システムが活発に働きます。

心臓よりやや上にある木の葉の形をした胸腺は、T細胞を作り上げています。

この胸腺がT細胞の新鋭部隊を創り出すことにより、T細胞がマクロファージより抗原提示を受け、敵を攻撃する司令塔として働きます。

これは外部よりの侵入者から体を守るための免疫システムになります。

しかし、この胸腺は、老化が早い組織であり、10代半ばに最大となり、20代をピークに休息に萎縮していってしまいます。

40代になると、ピーク時の10分の1の大きさいになってしまい、70代ではほとんど脂肪の塊のような感じになってしまいます。

つまり、20歳以降は、胸腺で作られるT細胞の数も減少していってしまいます。

さらに、加齢とともに骨髄も脂肪かしてしまうので、B細胞も減少し、さらにリンパ節や脾臓も萎縮していきます。

そう考えると、老化によって抗原抗体反応を行う免疫力がどんどんとなくなっていきます。

高齢者の免疫システム

そうなると心配なのが、免疫不全になってしまうのではないかということです。

しかし、加齢によって新しい免疫システムが衰えてくるのに代わって、老化に対応する古い免疫システムが活発になっていきます。

つまり、胸腺外分化T細胞、NK細胞、初期のB細胞などの生物の原点ともいえる免疫システムが働いてくれるようになります。

胸腺外分化T細胞は、体の中で異常化した細胞を排除する働きがあります。

これは加齢とともに老廃物の酸化物質がたまりやすくなることから、これらを取り除くという意味では効率的にできた仕組みになっています。

このように、人間は、古い免疫システムと新しい免疫システムのバランスを保ちながら進化してきたのです。

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