味が変わるマジック | 健康トピックス

ミラクルフルーツは、西アフリカ原産のRichardella dulcifiaという、アカテツ科の灌木の果実で、ミラクルフルーツ自体には、ほとんど甘味はありません。

しかし、ミラクルフルーツを舐めたあとに、酸っぱいものを食べると、酸味ではなく、なぜか甘味を感じます。

どうしてこのようなことが起こるのでしょうか。

舌の無味の基準は水ではない

無味なものといえば、『水』を連想する人も多いと思います。

確かに、純粋な水である蒸留水は、化学的には無色透明で無味無臭の液体ということになります。

しかし、私たちは味を舌で感じています。
そして、その舌の表面は、常に唾液で濡れているのです。

でも、私たちは唾液の味を特に感じているわけではありません。
つまり、人間は、唾液の状態が基準となっていて、唾液を無味と感じていることになります。

唾液中に含まれている塩化ナトリウムの味に順応して、それを無味と感じていることになります。

同じものでも、濃度が濃いものと薄いものだと、味の感じ方が違ってきます。

舌が順応しているレベルよりも、その濃度が濃くなっていく場合と、薄くなっていく場合では、同じものであっても別の味を感じるのです。

ミラクルを演出するその名もミラクリン

アフリカで奇跡のフルーツとまでいわれるミラクルフルーツですが、舐めることで、酸っぱいものが甘くなるということで有名です。

なぜ、このような不思議な現象が起こるのかというと、それはミラクルフルーツに含まれている『ミラクリン』という成分によって引き起こされているのです。

ミラクルフルーツのミラクリンは、その分子のタンパク質部分が味細胞膜に結合します。

そこに酸が入ってくると、膜構造が変化して、ミラクリンの糖部分が甘味受容体と結合するようになり甘味を感じるようになります。

だから、酸が入ってきたとき、逆に甘味を感じるようになるのです。

他にもあった、味を変化させる物質

ミラクルフルーツのミラクリンは有名ですが、その他にも、インド原産のギムネマ・シルベストレという植物の葉は、噛んだあとにショ糖の結晶を舌にのせても、砂のようで甘味を全然感じないのです。

これは、ギムネマ・シルベストレに含まれている『ギムネマ酸』によるものです。

ギムネマ酸は、甘味受容体の近くの構造を変化させてしまうことで、甘味成分と味覚受容体が結合できなくなってしまい、ショ糖を舌にのせても、甘味を感じなくなってしまうといわれています。

つまり、甘味情報が、脳に伝達されなくなってしまうのです。

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