変化していく健康と過労の考え方 | 健康トピックス

政府の働き方改革でも話題となり、よく耳にするようになった『過労死』という言葉ですが、『過労死』とは、過度な長時間労働や残業を強いられた結果、「脳疾患」や「心不全」などによる急激な体調の悪化に伴う突然死してしまうことです。

過労死は定義されている

『過労死』は、法律でもきちんと定義されています。

過労死が社会問題となる中、過労死等がなく、仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることができる社会の実現を目指して、2014年11月から施行されている過労死等防止対策推進法では、「過労死等」について定義されています。

過労死等防止対策推進法第2条では、「過労死等」とは、業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害であると定義しています。

英語でも、「KAROSHI」という言葉が英語辞書に掲載され、世界的にも知られるようになったようですが、日本語そのまま「KAROSHI」と辞書に載ってしまうぐらい、日本に特徴的なものなのかもしれません。

過労死ラインとは

過労死ラインは、仕事がものすごく大変で、そのせいで病気になってしまい働けなくなったり、無くなってしまった後、収入が途絶えてしまうと大変なことになります。

そのリスクを補うために労災保険があり、病気などが仕事のせいだと人間されればお金の給付が受けられるようになっています。

ところが、その病気が本当に仕事のせいで起きたものなのか、肥満や喫煙などの生活習慣によって高まっていたリスクによるものなのかはなかなか判断が㎡図かしいところです。

そこで2001年に厚生労働省が一つの線引きラインを通達しています。

脳・心臓疾患が残業や休日出勤などの時間外労働の条件下で発症した場合は、仕事と発症の関連性が高いと評価できるとしたのです。

これが過労死ラインと言われ、次の2つのケースが示されています。

●発症前1ヵ月間におおむね100時間を超える
●発症前2ヵ月間ないし6ヵ月間にわたって、1ヵ月当たりおおむね80時間を超える

そして、実はこの過労死ラインが割り出された根拠の目安になったのが睡眠時間です。

睡眠時間と病気のリスクを考えると、1日の睡眠時間が6時間未満では狭心症や心筋梗塞にかかる人が多くなるという研究結果があります。

さらに5時間以下の酸い味になると、さらにその関係性がはっきりするというデータがでています。

これを日本人の平均的な生活時間から割り出していくと、1日4時間程度残業すると、睡眠時間が6時間になるというところからきています。

つまり、1日6時間以上眠らないような生活は、病気のリスクを高めてしまうということです。

変化する過労死ライン

前述の100時間と80時間については、まったく変わりはないのですが、2021年には、働き方改革が進められる中、労災認定の基準として、過労死ラインが見直され、2021年9月から運用されています。

その大きな目玉の一つが、長期間の過重業務の評価にあたり、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化したことです。

つまり、残業などの時間が、今までの80時間ないし100時間という過労死ラインに達していなくても、これに近い残業時間や労働時間以外の負荷要員がある場合は、関連性が強いと評価されるようになりました。

労働時間以外の負荷要員って何なんだということになりますが、たとえば不規則性がある勤務時間において、休日がない連勤、勤務間インターバルが短い勤務といったものがあります。

また出張の多い業務や事業場外における移動を伴う業務、加えて心理的負担を伴う業務や身体的負担を伴う業務などがこれにあたります。

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