蓄膿症に辛夷清肺湯 | 健康トピックス

蓄膿症に効果がある主要な漢方処方は、辛夷清肺湯、葛根湯加川芎辛夷、荊芥連翹湯、柴葛湯加川きゅう辛夷、半夏白朮天麻湯、防風通聖散、麗沢通気湯加辛夷などがあります。

その中で、よく蓄膿症の治療によく使われている辛夷清肺湯は、どのような処方でなぜ蓄膿症に効くのかを紐解いていきたいと思います。

辛夷清肺湯とは

辛夷清肺湯ですが、何に効くのかというと、鼻閉(鼻づまり)、鼻茸、蓄膿症、後鼻漏といった鼻の炎症を抑えて治療する漢方処方になっています。

鼻茸やそれに伴う嗅覚異常の時も用いられます。

添付文書の効能を見ると、「体力中等度以上で、濃い鼻汁が出て、ときに熱感を伴うものの次の諸症:鼻づまり、慢性鼻炎、蓄膿症(副鼻腔炎)」となっています。

鼻炎・蓄膿症の処方なのに、なぜ「鼻」じゃなくて「肺」なのか

構成生薬をみてみると、辛夷、知母、百合、黄芩、山梔子、麦門冬、石膏、升麻、枇杷葉となっています。

『辛夷清肺湯』の処方名ですが、「辛夷」に関しては、辛夷を構成生薬としているからわかりますが、「清肺」の部分に関しては、なぜ鼻の症状に効く漢方なのに「鼻」という字じゃなくて「肺」なの?と思うかもしれません。

漢方では「肺は鼻に開竅(かいきょう)する」という言葉があります。

これは、「鼻」の異常は五臓の「肺」と関係があるという考え方で、肺の気が弱くなると、ウイルス・細菌・アレルゲンなどに相当する邪気が侵入しやすくなり、鼻づまり・鼻水などの鼻の症状になってあらわれてくるというわけです。

「清肺」とは、肺が熱をもった状態なのを冷やして清らかにしてあげることで、肺熱により呼吸器に炎症が起こり、膿を発生させるため、鼻炎や蓄膿症になります。

さらに肺熱により、肺の潤いが奪われて、それにより鼻づまりや口喝といった症状もでてきます。

これらを「清肺」、つまり「肺熱」を冷やしてやることで治療していくという意味で「清肺」という文字が処方名の中に入っています。

辛夷清肺湯の生薬の働き

知母、黄芩、山梔子、石膏、升麻、枇杷葉の6つの生薬は、肺の熱を冷やす、つまり「肺熱」をさまる「清肺」として働き、肺熱からくる呼吸器の炎症による膿の発生などを抑えて、鼻炎や蓄膿症に効果を発揮します。

辛夷は、鼻づまりを解消する生薬で、「清肺」の働きがある6つの生薬に辛夷がプラスされていることから「辛夷清肺湯」になっています。

それでは、それ以外の残った百合と麦門冬は何をしているのかというと、肺熱によって肺の潤いが奪われ、これが鼻の炎症とともに鼻閉(鼻づまり)を起こすのを、肺に潤いを補うことで改善していく役割があります。

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