日本語は非常に難しいと言われています。
たった1語1文字の助詞が違うだけでも意味やニュアンスが違ってきてしまうからです。
「主語+が」なのか、「主語+は」なのか
英語では、SV・・・というように修飾句を取り除いて文を骨格だけにすれば、主語の後には動詞がくるのが基本文型になっていますが、日本語の場合は、主語のあとに助詞がつきます。
A:山田さんが珈琲を飲んだ。
B:山田さんは珈琲を飲んだ。
このA・Bの2つの文書で違うのは、助詞の「が」・「は」の部分だけです。
そして、この2つの文章をみて、どちらの文章も違和感はないかと思います。
それでは、A・Bそれぞれの文章の前に質問があたっと想定してみてください。
すると次のようになるかと思います。
A:誰が珈琲を飲んだのですか? → 山田さんが珈琲を飲んだ。
B:山田さんは何を飲んだのですか? → 山田さんは珈琲を飲んだ。
Aの文章は、誰かが珈琲を飲んだのはわかっているが、誰が飲んだかがわかっていない。
Bの文章は、山田さんはわかっているが、何を飲んだかがわかっていない。
つまり、前述されていなかったり、未知のものである場合は、「が」、そうでない場合は「は」となります。
(誤)
営業部に、鈴木さんと佐藤さんは配属されました。鈴木さんが新卒で、佐藤さんが総務部から来ました。
(正)
営業部に、鈴木さんと佐藤さんが配属されました。鈴木さんは新卒で、佐藤さんは総務部から来ました。
読点1つでも重要な役割がある
読点(、)を1つとっても、場合によってはすごく重要な役割を果たすことがあります。
「このエリアではきものを脱いでください」
この注意看板があったらあなたはどうするでしょうか?
着物を脱ぎますか? それとも履物を脱ぎますか?
迷ってしまいますよね。
もちろん、「着物」・「履物」をひらがなで書くのが悪いといえばそれまでなのですが、
「このエリアで、はきものを脱いでください」
「このエリアでは、きものを脱いでください」
このように、読点(、)を1つ入れるだけで、意味が明確になるのです。
「2階へ」なのか「2階に」なのか
C:これらの本を2階へ運ぶのは時間がかかった。
D:これらの本を2階に運ぶのは時間がかかった。
Cの文章もDの文章も違和感はありません。
Cの文章は、他の階から2階をみた視点の文章になります。
Dの文章は、現在2階にいて他の階から本を運んできた人の視点の文章になります。
このように、「へ」と「に」という助詞1文字によって、これだけ文章のもつニュアンス、この文章を書いている人、またはしゃべっている人がどこにいるのかがわかってしまうのです。
ここまで気にしていたら、自由にしゃべれなくなってしまいそうですが、正確に日本語を話そう、または正確に文章を書こうとすると、助詞1文字にまで細心の注意を払わなければならないということなのでしょう。