臨床検査の留意点 | 薬剤師トピックス

『臨床検査』は、人体に対して行われるもので、血液・尿・便などを調べたり、脳波・心電図などの画像診断を行ったり、負荷試験などで体の機能を調べたりします。

臨床検査の利用

臨床検査は、病気の診断や予後の推定、経過観察、疾病のスクリーニングなど、医療になくてはならないものになっています。

日本臨床病理学会が提唱している『日常初期診療における臨床検査の使い方』には、行うべき検査などの指標が記載されています。

それによると、基本検査(1)として、尿検査(蛋白、糖、ウロビリノーゲン、潜血)、血液検査(白血球数、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット)、糞便検査(潜血)、赤沈とCRP、血液化学検査(血清総蛋白濃度、A/G比)があげられています。

さらに基本検査(2)として、入院時あるいは外来初診時で必要のあるときに行われるものとして、尿検査(色調、混濁、pH,比重、蛋白、糖、ウロビリノーゲン、潜血、亜硝酸塩、試験紙による白血球反応(エステラーゼ)、沈渣)、血液検査(CRPとシアル酸または赤沈、白血球数、赤血球数、血小板数、末梢血液像、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血清総蛋白濃度、血清蛋白分画、総コレステロール、中性脂肪、AST,ALT、LDH、ALP、γ-GT、尿素窒素、クレアチニン、尿酸)、糞便検査(潜血)、血清検査(HBs抗原)、胸部・腹部単純X線造影、心電図となっています。

臨床検査の注意点

臨床検査の注意点としては、何と言ってもその検体の取り扱いになります。

喀痰や血液、尿や便など、感染に直結するようなものを取り扱うのでより慎重にならなければなりません。

また、検体の取り違いがあっても問題です。

全血の検体は、冷蔵庫で保存した場合、赤血球中のナトリウムポンプとしての酵素活性が低下してくるので、血球内カリウムが血清中に出てきて高カリウム値になることがあります。

臨床検査値の測定誤差

検査には誤差はつきもので、臨床検査は試薬や分析機器などを使って行われますが、こうした分析には必ず測定誤差を伴います。

また、日を変えたりすると、日内誤差などもでてきたりします。

出てきた検査データを考えるとき、測定時の誤差も考慮しなくてあならず、検査の測定許容誤差の目安としては、健常者の生理的固体内変動の1/2が目標とされています。

臨床と会わないデータが出てきたり、極端にかけ離れたデータが出てきた場合は、特に注意が必要です。

臨床検査において、ある機器と試薬を用いて同一検体を繰り返し測定したときのバラツキの度合いを再現性又は精密度と言いますが、最近ではこうしたものが高いすぐれた機器が開発されてきています。

<参考>
『日常初期診療における臨床検査の使い方』
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika1913/87/10/87_10_1968/_pdf

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