ニキビ(尋常性ざ瘡)は、思春期から30代前後にみられ、顔面や胸部、背中などに、毛嚢と一致してできる丘疹になります。
原因をしっかり押さえたい女性のニキビ
ニキビというと病変が皮膚表面に現れているので、表在性のものと思われがちですが、体の内側にその原因があったりもします。
女性のニキビについては、月経不順や便秘が原因になっている場合も多いので、月経不順を調整したり、便秘を正常にすることが大切になってきます。
いろいろなニキビのケース
漢方・中医学では、一言でニキビといっても、いろいろなケースが想定されます。
ニキビの状態が、紅色の丘疹に勢いがある強いニキビが多発して、化膿している傾向があり、押してみると白い脂状のものがでてくるような場合で、かゆみや痛み、熱感などがある場合は、内熱が発生しているので、熱を取る方剤が処方されます。
生薬として、清熱解毒の働きがある黄連・黄ごん・山梔子・連翹・金銀花に、発散の働きを持つ牛蒡子・薄荷・荊芥・防風・桔梗、さらには瀉下の働きがある大黄・芒硝などを配合している黄連解毒湯や三黄瀉心湯、清上防風湯、防風通聖散が処方されます。
ニキビでも散在性で勢いがないような場合で、色も薄紅色の場合は、寒湿の邪が侵入し、気血を渋滞させている可能性があるので、体を温めて、湿邪を除く五積散や十味敗毒湯などが用いられます。
ニキビの効能をもった主要な漢方処方8選
ニキビの効能をもった主要な漢方処方8選をまとめてみました。
①荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう):体力中等度以上で、皮膚の色が浅黒く、ときに手足の裏に脂汗をかきやすく腹壁が緊張しているものの次の諸症:蓄膿症(副鼻腔炎)、慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきび
②桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症)、肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲症)、しもやけ、しみ、湿疹・皮膚炎、にきび
③桂枝茯苓丸料加?苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん):比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるものの次の諸症:にきび、しみ、手足のあれ(手足の湿疹・皮膚炎)、月経不順、血の道症)
④清上防風湯(せいじょうぼうふうとう):体力中等度以上で、赤ら顔で、ときにのぼせがあるものの次の諸症:にきび、顔面・頭部の湿疹・皮膚炎、あかはな(酒さ)
⑤大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう):便秘、便秘に伴う頭重・のぼせ・湿疹・皮膚炎・ふきでもの(にきび)・食欲不振(食欲減退)・腹部膨満・腸内異常醗酵・痔などの症状の緩和
⑥調胃承気湯(ちょういじょうきとう):体力中等度なものの次の諸症:便秘、便秘に伴う頭重・のぼせ・湿疹・皮膚炎・ふきでもの(にきび)・食欲不振(食欲減退)・腹部膨満、腸内異常醗酵・痔などの症状の緩和
⑦防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん):体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症(副鼻腔炎)、湿疹・皮膚炎、ふきでもの(にきび)、肥満症
⑧麻子仁丸(ましにんがん):体力中等度以下で、ときに便が硬く塊状なものの次の諸症:便秘、便秘に伴う頭重・のぼせ・湿疹・皮膚炎・ふきでもの(にきび)・食欲不振(食欲減退)・腹部膨満・腸内異常醗酵・痔などの症状の緩和
ニキビの場合は、月経不順や便秘に原因があることも多く、それらをしっかりとケアした上で、処方を選択していくことが大切になってきます。