肌にはさまざまな細胞が存在していますが、美肌を考える上で特に重要な細胞として、『ケラチノサイト』、『メラノサイト』、『ランゲルハンス細胞』があります。
ケラチノサイト
肌といえば、『ケラチノサイト』と言われるくらい、ケラチノサイトは表皮の大部分(約90%)を占めていて、『角化細胞』ともいわれたりします。
表皮の一番下の基底層で生まれ、その後、基底細胞⇒有棘細胞⇒顆粒細胞⇒角層細胞と形を変えながら表皮の表面の方へ移動していき、最後は垢となって剥がれ落ちていきます。
このケラチノサイトが基底層で生まれてから、形を変えながら表皮表面へ移動していき、垢となって剥がれ落ちる一連の流れが、肌のターンオーバーになります。
この『ケラチノサイト』が、なぜ美容面での貢献があるのかというと、紫外線から肌を守り、さらに肌から水分が奪われていくのを阻止し、細菌やウイルスといった外界からのストレスダメージや、熱などの刺激から肌を守るバリア機能を発揮するからです。
肌は常に外界からの病原体などにさらされていますが、ケラチノサイトがあるおかげで、単球・NK細胞、T細胞、樹状細胞といった免疫細胞を病原体が侵入した部位に誘因するケモカインを産生することで、病原体から肌を守っています。
『ケラチノサイト』は、フィラグリンやケラチンといった蛋白質、プロテアーゼ、抗微生物ペプチド、脂質などからなり、重要なバリア機能を発揮し、水分の蒸発も防いでくれることから、肌のキメや水分量の維持においても大きな役割を果たしています。
メラノサイト
『メラノサイト』は、メラニンを生成する色素細胞で、ケラチノサイトがターンオーバーしていく際に、ケラチノサイトを紫外線などから守るためにメラニンを生成し、そのDNAを守るための日傘の役割を果たしています。
メラノサイトの中にはチロシンというアミノ酸があり、ここにチロシナーゼがはたらき、ドーパ、ドパキノンを経て、メラニンになっていきます。
しかし、メラニンは過剰に作られてしまうとシミのもとになってしまいます。
そこで、多くの美白化粧品には、チロシナーゼに作用して、メラニンの生成を抑えることにより、過剰にメラニンができるのを抑え、シミを作らせないというものが多くなっています。
ランゲルハンス細胞
『ランゲルハンス細胞』は、枝を伸ばしたような樹状細胞の一つで、表皮の中を自由に移動しながら、異物の侵入を防いでいる免疫細胞になります。
その他、紫外線や乾燥などといった環境因子による刺激を緩和する働きもあるとされています。
しかし、ランゲルハンス細胞は紫外線に弱く、過剰な紫外線により数が減ってしまい、免疫力の低下につながりますし、老化によってもその数が減ってきます。
しかし、ランゲルハンス細胞はメラニンを持つことができないため、周りの細胞のメラニンの日傘に守ってもらう形になっています。