化粧品や医薬部外品(薬用化粧品)は、服用するものではなく肌の表面につけるものなので、多少商品が肌に合わなかったことによる湿疹などの皮膚症状はあったとしても、副作用という意識は医薬品に比べて薄いのですが、重篤な障害が出てくる可能性も否定できません。
したがって化粧品などにも副作用報告制度があります。
化粧品や医薬部外品(薬用化粧品)の副作用報告制度等について
化粧品や医薬部外品(薬用化粧品)は、医薬品医療機器等法によって規定されています。
医薬品医療機器等法には、副作用などの報告制度が規定されていて、本来は原則、医薬品や医療機器を対象にした制度になっていますが、化粧品や医薬部外品についても、報告対象となるような情報を知った場合は、適宜速やかに報告することになっています。
副作用報告は、厚生労働大臣あてに報告することになっていて、報告の義務があるのは、当該化粧品や医薬部外品の製造販売業者または外国特例承認取得者となっています。
つまりメーカーが有害な作用が発生するおそれがあることを示す研究報告を知った時点で、30日以内に厚生労働大臣に報告しなければいけなくなっているのです。
もちろん、企業内や関係企業内で行われた研究や学術誌上で発表された報告も対象で、従来知られているより高い頻度で皮膚障害等が発生した場合や、皮膚障害等の程度や症状が従来知られていたものよりも重いものになっていたといったケース、症例報告等で重篤な障害例が報告されたとき、症例報告や疫学調査報告等で知られていなかった人体に有害な作用が報告されたときなどは報告しなければいけないことになっています。
化粧品や医薬部外品(薬用化粧品)の回収報告
化粧品や医薬部外品(薬用化粧品)は、製品の回収を行った場合は、報告しなければいけないことになっていて、回収情報については、医薬品医療機器総合機構のホームページ等で公表されることになっています。
有名なところでは、加水分解コムギ末を配合して製品について、使用者が小麦アレルギーになり、その後小麦を含む食品を食べた後に運動して息苦しさやじんましんなどのアレルギー症状を起こした事例などにより、クラスⅠ(重篤な健康被害または脂肪の原因となり得る状況)ということで報告されています。
化粧品の欧米での副作用報告制度
アメリカでは化粧品の副作用報告制度については法律上規定されたものはありません。
しかし、化粧品で重篤及び予想外の副作用が万が一生じた場合は、FDAに報告することが推奨されています。
EUでは、望ましくない結果が発生した場合は、加盟国の所管官庁に報告することになっています。
そして望ましくない結果とは、化粧品の通常の合理的予想しうる使用による人体の健康に害がある反応が出た場合となっています。