化粧品のCMなどを見ていても『敏感肌』という言葉がよく出てきます。
「敏感肌」は化粧品業界の造語だった
化粧品メーカーの説明などを見ると、『敏感肌』とは、紫外線、化粧品などの外用剤、外気中のほこりなどで皮膚トラブルを起こしやすく、多くの人には刺激にならない物質に対して敏感に反応してしまうお肌の状態、肌のバリア機能が健康な肌と比較して低下している状態というようにいろいろと定義されています。
ただ、医学用語には『敏感肌』ということでの表現はなく、医学的な定義は存在しておらず、化粧品業界独自の造語と言われています。
薬機法上では、「化粧品とは洗浄・メイクアップ・スキンケア・ヘアケア等を目的に「人体に塗る・吹き付ける」等の方法で使用されるもので、機械器具ではないものをいいます。」と定義されていて、健常な人・部位に使うという目的が前提になっています。
したがって、「肌の弱い人用の化粧品」というと、健常人ではなく、マイナスの状態の人に使うということになってしまい、それなら医薬品ではないかということになってしまいます。
そこで、「肌の弱い人」という言い回しはできないので、苦肉の策として、『敏感肌』という言葉が生まれたのです。
「敏感肌」だとなぜかゆみが出やすいのか
敏感肌は、メーカーの定義どおり肌のバリア機能が低下して弱くなった状態です。
通常は、肌の角層が外部からの刺激や異物から肌を守ると同時に、水分の蒸発を防いでいます。
しかし敏感肌は、バリア機能が低下しているため体内に異物が侵入しやすい状態になっています。
こうして侵入してきた異物に対して、それを察知すると神経が肌の表面に近いところまで伸びてきて、ピリピリとした感覚を感じてしまいます。
また、表皮には『ランゲルハンス細胞』という表皮に特異的な樹状細胞があり、病原体などを察知して周囲の細胞に情報を伝えて防衛する免疫システムを担う細胞があるのですが、バリア機能低下により侵入した異物に対して、このランゲルハンス細胞が角質の真下まで手を伸ばして備えるようになります。
このため、バリア機能が低下した肌は、より敏感に外部からの刺激を感じるようになります。
ゆらぎ肌って何?
最近では、肌の状態が日に日に変化し、乾燥、吹き出物、刺激(ヒリヒリ)、赤み、かゆみ、摩擦に敏感、ごわごわしたりする状態のことを『ゆらぎ肌』と言ったりします。
『ゆらぎ肌』は、『不安定肌』とも言われ、ほこりや花粉などの外的要因や、食生活やストレス、生理前後といった内的要因で、いつものスキンケアが急に合わなくなったり、肌がムズムズかゆくなったりして、一時的に敏感な状態になると症状がでてきます。