『幹細胞コスメ』を考える前に、まずは『幹細胞』とは何かということになります。
『幹細胞』は、分裂して自分の複製細胞を作る自己複製能と、分裂して自分とは異なる様々な細胞を生み出す分化能をもつ細胞になります。
そこで肌を考えた場合に、そこには表皮幹細胞と真皮幹細胞が存在しています。
2つの肌の幹細胞
肌には、『表皮幹細胞』と『真皮幹細胞』があります。
『表皮幹細胞』は、肌の表面の表皮に存在していて、主に表皮角化細胞を生み出す働きがあります。
肌のターンオーバーに重要な働きを果たしていて、肌表面を健やかな状態に保っています。
『真皮幹細胞』は、肌の奥にある真皮に存在していて、線維芽細胞を生み出す働きがあります。
線維芽細胞は、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を作り肌にハリを与えています。
3つの幹細胞
幹細胞は、大きく植物由来、動物由来、ヒト由来の3つに分けることができます。
『植物幹細胞』は、植物における幹細胞で、栄養成分が豊富に存在し、細胞分裂が活発に行われている種子の中の胚や根の先端、茎の付け根といった部分に多く存在しています。
植物幹細胞には、ヒト幹細胞とは異なり、効果も限定的であるとされています。
抗酸化作用や保湿作用を期待して利用されています。
『動物幹細胞』は、動物における幹細胞で、羊や豚や馬といった動物の胎盤から採取したものが多く用いられています。
『ヒト幹細胞』は、ヒトの皮下脂肪から採取した脂肪由来の幹細胞になります。
医療面では、ヒト幹細胞を脂肪組織から分離培養し、それを体に戻したりするようなことが行われています。
ヒト幹細胞を培養する際の培養液には、多くの成長因子を含む百十種類の活性物質が含まれているといわれていて、その培養液は化粧品の材料などにも使用されています。
ヒト幹細胞培養液の力
ヒト幹細胞培養液は、肌のターンオーバーのスピードを回復すると言われています。
ヒト幹細胞培養液には、様々な種類のサイトカインや成長因子が含まれていて、皮膚組織のコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸を作り出す線維芽細胞に働きかけ、肌にハリと弾力を与える効果が期待されています。
また肌のターンオーバーを活性化する可能性も考えられています。
さらにヒト幹細胞倍両駅は、発毛・増毛促進効果も期待されています。
幹細胞コスメの効果は?
再生医療が注目される中、幹細胞コスメも注目されていて、確かにヒト幹細胞培養液などは、医学的にもいろいろな効果が証明されたり、期待されたりしています。
しかし、幹細胞コスメをうたった美容液については、しっかりと吟味が必要だと思います。
植物幹細胞であれば、保湿程度の効果しか期待できないでしょうし、ヒト幹細胞などが効果がある量・濃度、化粧品に入っているとはあまり考えられません。
もちろん使うことによって、抗酸化作用や保湿作用は期待できるのでしょうが、ヒト幹細胞で期待されている効果があるかどうかはわかりません。
また、薬機法では、化粧品の広告や表示において、「ヒトの細胞に働き活性化させて」というような表現はできません。
あくまでも浸透は角質までで、医薬品のような作用については広告することはできないことになっています。
もし、医薬品レベルの効果があるのであれば、医薬品としてきちんと承認を取得して、どうどうと標榜しなさいというのが行政の基本的考え方になっています。