石鹸は、その種類によって、溶けやすさ、泡立ち、洗浄力などが異なってきますが、その石鹸の特性の違いは、原料として使われる油脂や脂肪酸の種類によって変わってきます。
石鹸素地をつくるけん化法と中和法
石鹸は石鹸素地から作られるのですが、この石鹸をつくる原料となる石鹸素地を作る方法として、2つの方法があります。
石鹸素地ができるには、油脂や脂肪線とアルカリ性物質を反応させるわけですが、その反応の方法によっても、『けん化法』での製法と、『中和法』での製法の2つの製法に分類することができます。
『けん化法』は、油脂そのものをアルカリで加水分解する製法え、伝統的な石鹸の製法になります。
釜に入れた油脂とアルカリを撹拌しながら加熱して、けん化反応を起こさせて石鹸を作っていきます。こうして石鹸素地ができあがります。
『中和法』は、油脂から取り出した脂肪酸とアルカリを直接反応させる方法です。あらかじめ油脂を脂肪酸とグリセリンに分解して、その脂肪酸だけをアルカリと反応させます。
脂肪酸だけを使うので、不純物を取り除く必要もなく、また脂肪酸を選べるので、いろいろと脂肪酸による特徴を出しやすくなります。
肌と石鹸のpH
肌はpH4~6.5前後の弱酸性です。
よく言われるのが、肌のpH値がアルカリ性に傾いてくると、肌が過敏になり細菌炎症やアルカリ炎症を起こしやすくなります。
しかし、多少のアルカリ性であれば、体から分泌される皮脂や汗によって中和される中和能によって、自然い弱酸性に戻っていきます。
ここで、アルカリ性である石鹸を使って洗顔をしてみると、肌は一時的にpH8前後になります。
正常な肌であれば、中和能によって30分もたたないうちに元の状態に戻っていきます。
しかし、肌が炎症を起こしていたりすると、肌の機能が衰えていて、いろいろなトラブルが起きてしまいます。
スキンケア関連の化粧品の大半が、弱酸性であるのは、常に肌表面を弱酸性に保持するためとも言えます。
枠練り石鹸と機械塗り石鹸
石鹸は、大きく2種類に分けることができます。
『枠練り石鹸』と『機械練り石鹸』です。
油脂や脂肪酸とアルカリ性物質を反応させることによって、石鹸素地ができあがりますが、この石鹸素地を使って石鹸が作られていくことになります。
その際に、『枠練り法』と『機械練り法』という2つの製造方法があります。
これら2つは、見た目でもわかります。
『枠練り石鹸』は、透明から半透明であるのに対して、『機械練り石鹸』は不透明になります。
まずは『けん化法』または『中和法』で作られてきた石鹸素地から作り方が変わってきます。
『枠練り石鹸』は、香料や色素などを加える場合は、まず最初に石鹸素地に加えます。もちろん無添加石鹸ということであれば、香料や色素などは加えません。
つぎに、石鹸素地を枠の中に流し込んで、長時間かけて冷やして固めていきます。
『機械練り石鹸』は、石鹸素地を機械でチップ状やペレット状にして裁断し、十分に乾燥させます。
香料や色素を加える場合は、この十分に乾燥させた状態のものに加えます。
最後にロールでよく練り混ぜ、機械で棒状に押し出していきます。