ストレス社会になって、お腹の調子がどうもよくないと訴える人も増えてきています。
過敏性腸症候群であったり、機能性ディスペプシアの場合もありますが、これらは必ずしも精神的なものばかりではありません。
お腹の不調を訴える人の中には、小腸の中で異常に細菌が増殖したことにより、異常発酵が起きて、腸内にガスが多量に発生し、そのガスが原因で、おならや腹部膨満、腹痛、便秘、下痢といった症状に悩まされたりしています。
こうしたお腹の不調を訴える人の小腸では、細菌が増えていたりします。
人間は細菌と共存
細菌というと、病原菌を連想するところから、人間の敵というイメージを持ちやすいのですが、私たち人間は、本来は腸内細菌と仲良く共生してきました。
しかし、何らかの原因で細菌が増殖し暴走しはじめると、お腹の調子が悪くなってきたりします。
内視鏡と過敏性腸症候群
お腹の調子がおかしい時、よく使われるのが内視鏡検査です。
伸縮性のある光ファイバーが内視鏡に導入されたことにより、内視鏡検査で、腸の中までうまく照らし出し、精密な腸の視覚化が可能になりました。
しかし、皮肉なことに、病気の診断において内視鏡によって見える場合にのみ、原因が認められるようになり、内視鏡でみてどこも悪くない患者は、どこも悪くない、気のせいだと言った具合に答えを見つけるのにかえって労力と時間がかかるようになってしまったという側面もあります。
実際に、胃が痛いとか胃がもたれるという症状があるので内視鏡検査をしてみても、胃潰瘍や胃がんが目でみつかる確率は9%と言われています。
実際には、胃酸に過敏になっていたり、胃の働きが悪くなったりしているなど、胃の機能の異常によって、つまり機能性ディスペプシアなどによって症状がでている人が多くなっています。
これからもわかるように、実際の診療では。内視鏡で見てわかる、目で見える器質的な疾患よりも、目に見えない機能性疾患のほうが多くなっています。
おならを我慢したら口から出てくる
お腹のガス、つまり gas は、ギリシャ語の khaos(カオス)に由来しています。
カオスというと、混沌としたという意味になりますが、まさにお腹のガスは混沌としているのです。
健康な人は、1日に何リットルものガスを生成します。
そのガスはどうなっているのかというと、1つの経路としてはおならとして肛門から外に排出されます。
しかし、再び腸から吸収され呼吸をするときに口から吐き出していたりもします。
おならを我慢したところで、腸内細菌が発酵することによってできた水素ガス・メタンガス・二酸化炭素は、おならで出なければ、腸管から吸収されて血液の中に入り、それが肺に到達し、吐く息の中に出ていきます。
えええ! おならを我慢すると、そのおならが口から出てくるの?
それじゃ、口が臭くてたまらないじゃん!
と思う人もいると思いますが、水素ガス・メタンガス・二酸化炭素はほぼ無臭です。
おならが臭いのは、硫化水素などが原因していますが、硫化水素は呼気中には排出されません。
だから便秘になると口からの息が臭くなるといのは、ウソなのです。