疲れがなかなか抜けない・・・、最近どうも疲れやすいんだよね・・・
こんな日常会話がよく聞かれますが、そもそも『疲労』とはどういったものなのだろうか。
そもそも疲労とは
日本では、科学技術省の「疲労及び疲労感の分子・神経メカニズムとその防御に関する研究」というものが1999年に行われ、そこで疲労が起きるメカニズムについて解明されています。
そこでは、「疲労とは、過度の肉体的及び精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態」であると疲労について定義されています。
疲労の原因はエネルギー不足でも乳酸の蓄積でもない?
体を動かしたり運動をすると筋肉が使われますが、それを疲労と感じるのは脳で、疲労してくると、それは刺激に対する反応が遅くなったり、思考力が低下して注意散漫になったり、動作が緩慢になった行動量が減るといったパフォーマンスの低下という形で表れてきます。
疲労は、脳で感じていることから、疲労と自律神経は深く関係しています。
疲れたからスタミナ食を食べてというようなことをしても、なかなか疲れが取れないのは、現代の日本において多くの人はすでに栄養不足の状態ではなく、必要なエネルギーは摂取できているので、そこにスタミナ食を摂ったからといって、劇的に疲労が回復するというわけではないのです。
逆に食べ過ぎて疲れてしまうという場合もあるくらいです。
疲労物質としては『乳酸』が良く知られていて、運動をして筋肉が疲労してくると、その疲労物質である乳酸が筋肉にたまって疲労が起こると言われてきましたが、これには科学的な根拠がないということがわかってきています。
筋肉の疲労の指標として、筋肉細胞が運動などによって損傷を受けると高値を示すCPK(クレアチンフォスフォキナーゼ)やLDH(乳酸脱水素酵素)は、普段運動しない人が全速力で走ったり、登山をしたりすれば上昇してきますが、買い物で街を歩いたりする程度では異常な数字はでないことがわかっています。
むしろ、現代の日本について言えば、疲労はいろいろな原因で自律神経系の機能が低下した結果、疲れを感じていると言えます。
だからこそ、デスクワークをしていても、疲労を感じたりするのです。
疲労するメカニズム
運動したときもそうですが、長時間デスクワークして脳を使ったときでも、体の細胞は大量の酸素を消費します。
大量の酸素が消費されることによって、そこで同時に活性酸素をも発生し、その活性酸素が細胞を傷つけて、その細胞から老廃物がでてきます。
するとそれによって細胞や組織の機能が低下して疲労してしまうのです。
さらに、発生した活性酸素によって傷つけられて細胞からでてくるものとして、疲労因子FF(Fatige Factor)も出てきて疲労を感じるようになります。