コアラに学ぶ腸内細菌との共生 | 健康トピックス

コアラというと、どんなイメージをお持ちでしょうか。お菓子のコアラのマーチが頭に思い浮かぶ人もいるでしょうし、有袋類仲間を思い浮かべる人もいるでしょうし、オーストラリア大陸をイメージする人もいると思います。

ちょっと知識がある人なら、一番寝る動物というイメージを持っているかもしれません。

しかし、ユーカリをイメージする人もいるくらい、コアラの主食というとユーカリといえるでしょう。

コアラはユーカリ以外は食べないのか

コアラユーカリを主食とするということは多くの人が知っていますが、実は一言でユーカリといっても約600種類以上もあります。

そして、コアラが食べるとされているユーカリはそのうち40種類程度だと言われています。実際にコアラが食べるユーカリは、生息地方の関係などもあり大体12~13種類と言われています。

コアラは、一応、ティーツリーやアカシアの新芽なども食べますが、ユーカリ以外でコアラを飼育するのは難しいとされています。

コアラが食べるユーカリには、毒である青酸が含まれているので、コアラ以外の動物はユーカリを食べないので、ユーカリはコアラ独占の食べ物といってもいいでしょう。

こうしてコアラは食料という点において、他の動物と競合することなく子孫をつないできたと言えるでしょう。

ユーカリは殺菌作用などがあり、オーストラリアの先住民であるアボリジニは、風邪のひきはじめなどに薬草として使っていたりしましたが、もちろんコアラのように主食としてバリバリ、モリモリ食べるわけではありません。

コアラは、1日のうち22時間も眠っているという最も眠る動物なのですが、これは、消化が悪く、栄養価が低いユーカリを主食にしているので、その毒素を消化で分解しなければならず、その消化にもエネルギーを使うので、体力をあまり消耗しないように、ほぼ1日中寝て過ごすのです。

コアラがユーカリを食べられる理由

消化が悪く毒である青酸が含まれているのに、なぜコアラはそれを主食にできるのかというと、それは毒素を消化で分解できるからなのですが、それではなぜ消化で分解できるのかというと、コアラの腸の中には独特の腸内細菌が棲みついているからなのです。

コアラの盲腸は約2mもあり、そこにロンピネラ菌という腸内細菌が棲みついています。コアラはそこに、ロンピネラ菌のエサとなるユーカリをせっせと食べて提供しているのです。

コアラの赤ちゃんは、離乳食の時期になると母親のおなかを揉み、すると母親はパップというその時期だけに出すと言われている緑色でドロドロとして腸内細菌が豊富に含まれた特別な便を出します。

そしてその出てきた便をコアラの赤ちゃんが食べて、母親から腸内細菌を引き継いでいくのです。

コアラにとってロンピネラ菌はとても大事

コアラにとって、ロンピネラ菌はともに共生するとても大切なパートナーなのです。

病気で保護したコアラの治療に、抗生物質を使ったところ、その病気は治ったものの、次第にコアラがエサであるユーカリを食べなくなり衰弱してしまうというケースがあります。

このように、腸内細菌と動物は切っても切れない深い関係にあるのです。

家の柱を食い荒らすシロアリにしても、普通のアリでは家の柱の木のようなものは消化できません。

実は、シロアリにいる腸内細菌が木を消化しているのです。
もし、シロアリに腸内細菌がいなかったら、木を消化できないのです。

このように、昆虫にも腸内細菌がいるのです。

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