フィジカルアセスメント(Physical assessment)は、比較的新しい概念で、1990年代初頭にアメリカから導入された概念になります。
フィジカルアセスメントとは
『フィジカルアセスメント』は、問診・視診・触診・打診・聴診などの身体検査をして、患者の全身の情報を収集・評価することで、個々の患者に適した対応を判断していくことになります。
『フィジカルアセスメント』の「フィジカル」は、身体的な・理学的なという意味で、「アセスメント」は評価・査定という意味で、物事の質や量、勝ちについて推定・判断する思考過程という意味合いも含んだ単語になっています。
大きなくくりとして、健康全体の管理評価という意味で『ヘルスアセスメント』という言葉がありますが、フィジカルアセスメントは、身体的側面に特化した情報の収集と分析、統合、判断までの一連お流れ・過程であり、ヘルスアセスメントの一部と言っても良いでしょう。
ヘルスアセスメント(health Assessment)は、健康状態を身体的側面・心理社会的側面・スピリチュアルな側面から質的・量的に査定・評価するプロセスになります。
フィジカルイグザミネーション(Physical examination)は、フィジカルアセスメントに必要な体の内外に現れている現象を収集する際に用いる視診・触診・打診・聴診などのスキルを駆使して行う診査のことを指します。
看護という視点で考えれば、身体的アセスメントであるフィジカルアセスメントの他、心理社会的側面や、スピリチュアルな側面もあります。
人間はそんなに単純ではない
看護理論を唱えているマーサ・E・ロジャースによると、人間は、「部分の総和以上の存在で、また総和とは異なる存在である」としています。
つまり、「身体的側面+社会心理的側面+スピリチュアルな側面=人間」という単純なものではないということです。
高齢者は、身体的な能力では、若者にはかなわないし、社会の第一線からは退いていて、細心の情報ツールなども使いこなせないかもしれないが、今までの経験や実績にうらうちされた生活のためのすべてや知恵には、若者は及ぶことはできず、単に引き算や足し算の結果として、今あるのではなく、個人個人がその人らしく生きてきた結果として今があるのです。
つまり、フィジカルアセスメントにおいても、一人一人の人間として、その人らしさがあることを前提としてものである必要があるのです。
フィジカルアセスメントの意義
フィジカルアセスメントは、医師側からみると、フィジカルイグザミネーションを駆使して、フィジカルアセスメントを行うことになり、これがいわゆる『診察』になります。
看護師は、そのフィジカルアセスメントに加え、心理社会的情報やスピリチュアルな情報の評価を統合し、生活を支援し看護を導いていくことになります。